2020 Fiscal Year Research-status Report
Homeostatic scaling function in the generation and reorganization of segregated distribution in synaptic organization
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19K06925
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
市川 量一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10223091)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プルキンエ細胞 / 樹状突起 / ホメオスタシス / 登上線維 / 平行線維 / シナプス / スパイン / 分節化構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、小脳登上線維を破壊したモデルマウスの解析をするとともに、プルキンエ細胞樹状突起が登上線維を受け取る直前である生後7日に、下オリーブ核を破壊し、登上線維の入力を発生器より受けない樹状突起を作製し、そのシナプス構築の経時変化を解析した。 昨年度作成したモデルマウスの解析の結果を考察した。過去の行動学的研究によれば、登上線維を破壊した直後の運動障害と1週間後の運動障害の種類が異なることが報告されていた。障害後の時期的観点から、プルキンエ細胞樹状突起上のシナプス構築維持の平行線維シナプスによる代行は、運動障害を残存させる可能性が示唆された。 一方、発生初期で脱登上線維入力をおこなった樹状突起を解析した。プルキンエ細胞樹状突起は、生後15日から平行線維シナプスのEliminationを受けるが、登上線維入力が欠落した状況では、対照の120-125%の数の平行線維シナプスが残存した、言い換えると、Eliminationが途中で中断されてしまったことを示唆する。それは、欠落した登上線維入力が本来行うべきであったプルキンエ細胞樹状突起上でのスパインの増加抑制を、平行線維シナプス入力により代行させるホメオスタシス機構が働いたためであると考えられる。その結果として、樹状突起近位部に平行線維シナプスが残存したため、平行線維の遠位部での集中した局在性は失われていた。同時に、プルキンエ細胞の近位部、それは対照の樹状突起では登上線維シナプスだけが分布する領域に相当するが、に登上線維シナプスと同等の密度を示すnonsynaptic spineがみられた。しかし、対照樹状突起でみられる、平行線維シナプスと登上線維シナプスが混在する領域に相当する部位には、nonsynaptic spineが見られなかった。これは、成体で登上線維を破壊したデータと大きく異なる点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね、実験については計画書通りに進んでおり、結果は想定の範囲内であるが、コロナウィルス対策などにより、公刊に関しては遅れているため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、昨年度おこなったモデルマウスの解析結果を公刊するとともに、登上線維入力を受けたことの無い樹状突起のシナプス構築形成の解析を詳細におこない、公刊にこぎつけることを、今年度の目標とする。 加えて、平行線維入力に障害のあるモデルマウスについてシナプス構築の発生の解析を行い、プルキンエ細胞樹状突起のホメオスタシスを含めた内因的な要因と外因的な要因に、シナプス形成における作用を分け、呈示しようと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナウイルスの流行にともない、物品の購入に支障が生じたこと、また、成果を発表するための公刊に向けた準備のための時間がとれなかったことが主な理由である。 次年度は、得られたデータを順次公刊するとともに、必要な物品を購入することで、研究をより効率的に進めていきたい。
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