2022 Fiscal Year Research-status Report
Homeostatic scaling function in the generation and reorganization of segregated distribution in synaptic organization
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19K06925
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
市川 量一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10223091)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プルキンエ細胞 / 登上線維 / 平行線維 / スパイン / シナプス / 樹状突起 |
Outline of Annual Research Achievements |
成体マウスにて登上線維シナプスを消去させた後では、平行線維シナプスが本来存在しない樹状突起近位部に低密度にて形成され、結果として20-25%平行線維シナプス数が増加していた。その一方で、登上線維シナプスと一致する領域、密度で、シナプスを形成しないスパインが残存していた。発生期マウスにて、樹状突起に登上線維シナプスが形成し始める齢よりも若い段階で登上線維を消失させた場合では、対照マウスのプルキンエ細胞の樹状突起近位部でおきる平行線維シナプスの減少はおこるが、平行線維シナプスの数が対照マウスの120-125%に達すると、除去作用は停止し、結果として、成体では、対照マウスと異なって、樹状突起近位部に平行線維シナプスが残存した。このことは、homeostatic plasticityが発生途上でおきる余剰シナプスの刈り込み作用(pruning)、を抑制したと考えられる。また、シナプスを形成しないスパインが樹状突起近位部で見られ、その密度は、対照樹状突起上の登上線維シナプスと同一の密度で出現する。対照マウスでは、登上線維シナプスがスパイン密度の高い遠位部にも平行線維シナプスと共存して存在し、その混合領域は樹状突起の長さの点で遠位部の約半分を占める(Ichikawa et al, 2002, 2016)。しかし、登上線維を発生初期に消失させたマウスでは、遠位部のスパインはすべて平行線維シナプスで覆われていた。遠位樹状突起に登上線維シナプスを形成するためには、登上線維の活動が必要であると考えられる。それに対し、成体で登上線維を破壊したマウスの樹状突起遠位部にはシナプスを形成しないスパインが残存した。このことは、一度形成された登上線維シナプスのシナプス後部は結合相手が登上線維に固定されるのではないかと類推された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験の過程は、終了したが、コロナウィルス対策のため、ここ数年エフォートが教務の方に傾いたため、結果のとりまとめおよび、成果発表、論文作成に著しい遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
結果をとりまとめ、得られたデータを論文などに公刊することに全力を注ぎたい。
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Causes of Carryover |
研究遂行の遅れのため、特に、成果発表に関する助成金の施行に遅れが生じている。次年度は、助成金の残金を成果発表、および追加実験などに使用する予定である。
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