2023 Fiscal Year Research-status Report
APP-BACE1結合仲介分子によるアミロイドβ産生制御機構の解明
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19K06929
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
樫山 拓 順天堂大学, 医学部, 助教 (90338343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高杉 展正 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (60436590)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ / 変性神経突起 / 輸送障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病の病理に中心的役割を果たすアミロイドβ(Aβ)は前駆体タンパク質(APP)はBACE1・γセクレターゼによる2段階切断を受けて産生される。Aβ凝集体からなる老人斑(プラーク)近傍では、神経突起における小胞輸送障害により変性神経突起が形成されることが知られている。輸送障害部位ではAPP・BACE1の蓄積が起こり、悪循環的にAβ産生亢進、凝集体の形成促進、変性神経突起形成・神経機能障害が進行すると考えられている。 我々がAPP結合タンパク質として見出したタンパク質Xが老人班周囲に集積することを報告しているが、培養細胞発現系を用いた実験でタンパク質XがBACE1とも結合することを発見した。 以上のことから、このタンパク質XがAPPとBACE1の集積を促し、Aβ産生を亢進しているというのではないかという仮説を立てた。この過程を修飾することでAβ産生を抑制できれば新たなアルツハイマー病治療薬の標的となることが期待される。 アルツハイマー病モデルマウス脳スライス固定標本の免疫染色によりプラーク周辺におけるBACE1およびタンパク質Xの集積を確認した。 タンパク質XとBACE1の結合部位を明らかにするため、それぞれについて部分欠損変異体を作製し、株化細胞を用いて免疫沈降、および蛍光顕微鏡による共局在を指標に結合を評価した。少なくとも膜貫通ドメイン同士の相互作用が確認され、細胞外ドメイン同士の相互作用が示唆された。これらを生きた神経細胞で再現し観察するために有用な神経分散培養におけるプラーク形成モデルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパク質Xがアルツハイマーモデルマウス脳のアミロイドプラーク周辺に蓄積することをを見出した。タンパク質Xはアミロイドプラーク周辺で軸索が膨化して生じる変性神経突起と関連があることが示唆された。 これらのメカニズムを解明するため、脳スライス固定標本ではなく、生きた神経細胞において人工的にアミロイドプラークを形成する実験系の確立と遺伝子導入法の改善が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
神経分散培養において、人工的にプラークを形成させる実験系が確率できたため、生きた神経細胞におけるBACE1とタンパク質Xの結合および輸送を解析する。また、および脳スライス培養におけるアミロイドプラーク形成モデルに当該タンパク質遺伝子を導入するためにAAVベクターの作製中であるが、パッケージング可能な遺伝子サイズの制限があるため、In vitro translation mRNAによる遺伝子導入法を確立する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により新規実験の抑制指示があったこと、動物施設内の調整により実験計画が立てられなかったこと、各学会がオンライン開催となり経費が浮いたことなどの理由による。
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