2021 Fiscal Year Research-status Report
3D-Structural Analysis of Diversity in Centrifugal Regulation for Neural Circuit in the Olfactory Bulb by Other Brain Regions
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19K06932
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
樋田 一徳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40253405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清蔭 恵美 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30543392)
堀江 沙和 川崎医科大学, 医学部, 助教 (40609666)
佐藤 慧太 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80812578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セロトニン / アセチルコリン / ノルアドレナリン / ヒスタミン / 嗅球 / 受容体 / 線維分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者らはこれまで嗅覚系一次中枢嗅球における嗅覚情報処理機構に注目し三次元構造解析を行い、縫線核からのセロトニン 5HTニューロン(Suzuki et al 2015)、対角帯水平脚 HDB からのアセチルコリンAchニューロン(Hamamoto et al 2017)、青斑核からのノルアドレナリン NAニューロン(Horie et al 2021)の嗅球への遠心性投射を明らかにした。更に5HT、Ach、NAの3種のニューロンの分布の多様性が著しい顆粒細胞層GCLで、顆粒細胞のGABA免疫反応性に多様性について詳細な定量解析による結果を論文発表し(Satoh et al 2020)、3種の投射ニューロンとの関連性も解析を行っている。当該年度は、これら3種の遠心性投射ニューロン層別の線維密度と受容体分布について定量解析した。 具体的には、5HTは糸球体層GL、GCL、外網状層EPLの順に線維分布が多く、Achは GL、GCL、outer EPL、 inner EPLの順に、またNAは、GCL、inner EPL 、outer EPL、GLの順に線維分布が多かった。一方5HT受容体はGL、EPL、GCL、Ach受容体はGL、EPL、GCL、そしてNA受容体はGL、EPL、GCLの順に存在密度が高かった。 一昨年度より解析を始めたヒスタミン(His)ニューロンは、視床下部乳頭体核(Tuberomammillary nucleus: Tmn)を起始核とし、嗅球では深部GCLに細い線維が見られた。合成酵素のヒスチジン脱炭酸酵素(histidinedecarboxylase: HDC)の免疫染色ではGCLに最も多く、GLにも僅かにHDC線維が見られた。現在Histamin-Cre mouseと新たに導入したアデノ随伴ウイルスAAVと組み合わせた単一ニューロン標識を行い解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NAニューロンについては論文発表を行い、掲載雑誌の表紙を飾るなど、高評価を得た。審査を受けている間に、これまで発表を行って来たセロトニン、アセチルコリン、ノルアドレナリンの層別の線維密度と受容体分布の比較定量解析を行っており、更に詳細な解析と、シナプス結合の三次元構造との関係で定量解析を進めている。 Hisニューロンについては、免疫染色に加えて、嗅球からのFluoroGold逆行性標識を併用し、起始核からの投射の詳細な解析を引き続き行うとともに、単一ニューロンレベルで起始核から投射先の嗅球に至る全貌を明らかにするために計画したHistamin-Cre mouseを導入し、更に新規のアデノ随伴ウイルスAAV(脳血液関門を通過するタイプ)を新たに導入し、より精度の高い単一ニューロン標識を進めている。 この他、レーザー顕微鏡および超高圧電子顕微鏡による独自の定量解析により以前より解析を進めた嗅球内GABAニューロンのGABA免疫反応の多様性を明らかにし、更にこの多様性と遠心性ニューロン投射との関連性が示す結果を得つつある。これは当初予期していない知見で、今後大きく研究が進展する可能性が示唆され、当該研究において大きな意味を持つ。 本来は英国での共同実験を計画していたが、新型コロナウイルス感染状況により延期せざるを得なくなったが、全体の進捗としては予期せぬ解析の発展につながる状況といえ、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
5HT、Ach、NAの3種のニューロンについて、嗅球における線維と受容体分布の解析結果をまとめて、現在論文を作成中である(共同研究者・堀江)。これに関連し、varicosityとシナプスの形態と数について層別の更に詳細な解析を行い(共同研究者・堀江)、またシナプス結合の三次元構造と定量解析を進める(共同研究者・清蔭)。 Hisニューロンについて、嗅球からのFluoroGold逆行性標識を併用し、起始核Tmnからの投射の詳細な解析を行い、Tmnの組織構成の中でのHisニューロンの局在と細胞構成について解析を進める(研究代表者・樋田、共同研究者・堀江)。更に、単一ニューロンレベルで起始核から投射先の嗅球に至る全貌を明らかにするため、Histamine-Creマウスとアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いた単一ニューロン標識を解析する(共同研究者・清蔭、共同研究者・堀江)。 また同時に、最近明らかにしている嗅球GABAニューロンのGABA発現の多様性(Satoh K et al 2020)とこれら遠心性投射ニューロンの線維分布と近接度、投射パターンとシナプス結合との関連をレーザー顕微鏡と超高圧電子顕微鏡を組み合わせた形態計測と定量解析を引き続き進める。 なお、報告者らの研究成果は、英国のDr. Time Viney, Prof. Peter Somogyi(Department of Pharmacology, University of Oxford)の注目を受け、嗅球への遠心性投射調節の生理学的解析の共同研究へ発展することになり、2021年度に共同研究社・堀江が1年間渡英してSomogyi教授の指導で解析法を学んで帰国した。新型コロナウイルス感染拡大により年度内の共同実験の実施は難しくなったが、新型コロナウイルス感染状況をみながら、2022年度後半に共同実験を実施したい。
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Causes of Carryover |
本来は2021年度に終了予定であったが、嗅球GABAニューロンのGABA発現の多様性の定量解析が成功したことにより解析の可能性が広がったこと、またその知見も含めて、機能的解析による検証の必要性が高まり、英国における共同実験を計画していたが、新型コロナウイルス感染状況により延期せざるを得なくなり、このため次年度に延長使用することとなった。2022年度は、嗅球GABAニューロンのGABA発現の多様性を更に追求して、遠心性投射ニューロンの嗅球内分布の多様性のより詳細な解析を進めること、また延期していた渡英による共同実験の実施を行うことにより研究費を使用する計画にしている。
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Research Products
(1 results)