2022 Fiscal Year Annual Research Report
3D-Structural Analysis of Diversity in Centrifugal Regulation for Neural Circuit in the Olfactory Bulb by Other Brain Regions
Project/Area Number |
19K06932
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
樋田 一徳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40253405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清蔭 恵美 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30543392)
堀江 沙和 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40609666)
佐藤 慧太 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80812578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遠心性投射 / 嗅球 / 神経回路 / シナプス / ヒスタミンニューロン / THニューロン / エストラジオール |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに論文発表したノルアドレナリン、セロトニン、アセチルコリンニューロンの嗅球への遠心性調投射についての電気生理学的解析のために、渡英して海外研究協力者(Dr. Tim Viney, University of Oxford)と共同実験する予定で2022年度まで研究期間を延長したが、COVID-19感染症により果たせなかった。そのような中で、新たに2つの研究を進めた。 一つは、ヒスタミンニューロンについての解析で、嗅球に逆行性トレーサーFGを投与し、起始核と考えられるMPVにFG含有ニューロンが観察された。これには抗ヒスタミン合成酵素HDC抗抗体と抗二重陽性が観察され、ヒスタミンニューロンが起始核MPVから嗅球へ遠心性投射することがわかった。更に、レーザー顕微鏡にてヒスタミンニューロンが嗅球全層に分布することが明らかとなった。興味深いのは他の3種の遠心性投射と異なり、表層の嗅神経層と糸球体層に多く分布し、電顕超薄切片で解析すると嗅神経終末と投射ニューロン樹状突起の間に介在するシナプス結合を認めた。この成果は2023年3月の日本解剖学会総会にて発表し、現在論文作成をしつつ更に解析を進めている。 二つ目は、エストラジオール投与により糸球体層THニューロンのTHおよびGABATransporter VGAT発現の上昇とシナプス数の増加である。THニューロンは糸球体において匂い識別に関与すると考えられており、性ステロイドが嗅覚神経回路の可塑的変化に関与する重要な知見を得て2023年1月に論文として発表した(Kiyokage et al, J. Comp. Neurol. 2023)。 以上のように、海外渡航はできなかったものの、新たな遠心性投射ニューロンを同定したこと、ホルモン投与による体内環境変動によっても嗅覚機能が調節されるという知見を得て、今後の研究の多様な発展の端緒を得た。
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Research Products
(8 results)