2022 Fiscal Year Annual Research Report
進化的に保存された神経ぺプチドによるショウジョウバエの中枢性侵害受容制御機構
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19K06935
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
本庄 賢 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 研究員 (50731866)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 痛覚 / ショウジョウバエ / 疼痛 / 神経ぺプチド / 下行性抑制 / CCK / DSK |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、ショウジョウバエの中枢神経系で侵害受容制御を担っていると予想される進化的に保存された神経ぺプチドDSKについて、①分泌細胞、②標的細胞、③侵害受容制御の細胞学的メカニズム、の3点の理解を通じその中枢性の侵害受容調節作用メカニズムを明らかにすることである。 ①分泌細胞については、DSK分泌細胞がショウジョウバエ幼虫において、中枢神経系の中でも脳にのみ局在している昨年度までに得た証拠に加え、本年度はCaMPARI2カルシウムセンサーを用いた実験を実施し、脳のDSK分泌細胞が熱刺激に単純に応答するフィードバック細胞ではないことや、一部のDSK分泌細胞が常時活動している可能性を示唆する新たなデータを得た。②標的細胞については昨年度までに、腹髄神経節に局在する侵害受容介在ニューロンをDSKによる侵害受容制御の標的細胞候補として同定し、複数のシナプス伝達検出ツールを用いた実験からDSK分泌細胞と標的細胞候補が非常に近距離で接触している事実を明らかにした。③侵害受容制御の細胞学的メカニズムに関しては、昨年度までにDSK分泌細胞特異的の人為的発火実験から、DSK分泌神経細胞が侵害受容抑制能を持つことを直接的に示すデータを得ていた。本年度はさらにCaMPARI2を用いた神経活動イメージングを行い、DSK分泌神経細胞の人為発火によって②で特定した標的細胞候補の活動が抑制されることも確かめた。 本年度得たデータを含め、本研究課題で得られた証拠から、神経ぺプチドDSKは、ショウジョウバエ幼虫において脳から腹髄神経節への下行性侵害受容抑制を担うことが明らかになったと考えられる。これは非哺乳動物における下行性侵害受容制御機構の存在を示し、また同時にショウジョウバエと哺乳類との間に分子レベルで保存された下行性侵害受容抑制機構の存在を示す世界初の発見となるものである。
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[Presentation] Descending inhibitory mechanism of nociception mediated by an evolutionarily conserved neuropeptide system in Drosophila2022
Author(s)
Honjo, K., Oikawa, I., Kondo, S., Kashiwabara, A., Tanimoto, H., Furukubo-Tokunaga, K.
Organizer
第45回日本基礎老化学会大会