2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K06948
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣川 純也 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (40546470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚野 / テトロード / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
動物は状況の不確実性によって行動戦略を切り替える。動物はどのようにして状況から不確実性をメタ認知(俯瞰的に理解)し、それを行動に反映させるのだろうか?本研究は動物が曖昧な知覚に基づく意思決定をおこなう際に、大脳皮質(眼窩前頭皮質、頭頂連合野、一次感覚野)の神経細胞がどのような神経回路メカニズムによってメタ認知を生かした行動を可能にしているのかを解明することを目指した。まずラットに不確実性下での知覚意思決定課題(報酬確率バイアス型嗅覚弁別課題、および視覚に基づくメタ認知課題)を訓練した。訓練が終わった動物の眼窩前頭皮質、頭頂連合野、一次視覚野に多数の記録用テトロード電極を留置し、行動課題遂行中の神経活動を解析した。眼窩前頭皮質の神経細胞は、動物の知覚判断の自信に応じた活動を示す細胞群や、その不確実性に修飾された報酬情報と相関する細胞群など最適な意思決定を遂行するために必要な情報をもつ細胞群にクラスター的に分けられることを明らかにした。またその一部のクラスターを構成する細胞の多くが線条体に投射することを明らかにし、機能的に変化する細胞集団の一部に神経投射が対応していることを明らかにした。一方、視覚に基づくメタ認知的意思決定課題を行わせた系では、視覚刺激の有無の報告(Go/Nogo)と、実際の強制選択による正解率の間に乖離がみられ。興味深いことに動物がNogoを報告したときでも視覚野の神経細胞は頑健に視覚応答を示しており、視覚応答の強さが視覚刺激に対する動物の行動を決めているわけではないことがわかった。一方視覚応答を持たない神経細胞の活動がNogo選択に重要な役割を果たしていることを示し、視覚野の神経細胞の大多数が協調て貢献していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前頭皮質を中心にした嗅覚に基づく不確実な状況での意思決定、および視覚皮質を中心にした視覚に基づく不確実性を伴う意思決定どちらのアプローチも順調に進行し論文として成果を発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は光遺伝学的アプローチを用い、特定の神経回路の貢献について明らかにする。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの執行であった。今後は確立した光刺激システムを用い、眼窩前頭皮質-線条体投射細胞の活動と行動の因果関係について検証する。そのため光刺激用の消耗品や動物の購入費に当てる。
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