2020 Fiscal Year Research-status Report
腹側中脳橋の抑制性ニューロンによる睡眠制御機構の解明
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19K06950
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高田 陽子 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (60435740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 陽 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (70554004)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 睡眠覚醒制御 / 腹側内側中脳橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在広く受け入れられている睡眠制御モデル「2プロセスモデル」(Borbely, 1982)によると、睡眠のタイミングや強さは主に睡眠負債(睡眠の恒常性)および日内リズムによって制御される。しかし、例えば夜勤等の意図的な覚醒維持、単調な自動車運転や退屈な講義などから生じる眠気のように、情動・認知的な因子も睡眠覚醒の大きな制御要因であることは経験的にも明らかである。このような情動的要因による睡眠制御の脳内メカニズムはあきらかでない。 研究代表者らはごく最近、モチベーション・報酬を調節する「報酬系」神経システムと睡眠覚醒制御の関係を解析する過程で、腹側内側中脳橋(VMP)の抑制性ニューロン(GABA神経)が睡眠調節に極めて重要な役割を果たすことを見出した。VMP GABA神経の欠損は重篤な不眠状態を生み出し、一過的に抑制させると睡眠量が減少する。反対にこの神経を活性化させると極めて強力にノンレム睡眠が誘導される。本研究では、VMP GABA神経の睡眠調節における機能およびその報酬系との関連性を明らかにする。具体的には、VMP GABA神経を抑制した場合の覚醒増加、および活性させた場合の睡眠制御に関与する脳領域の同定をおこなう。 初年度に引き続き、VMP GABA神経の抑制による覚醒増加に関与する脳領域を解明するための実験を主におこなった。VMP GABA神経が投射するドーパミン神経群を破壊したマウスを作成し、そのVMP GABA神経の活動を抑制して睡眠覚醒量を測定・解析を試みたが、第一候補であった領域のドーパミン神経を完全に破壊することができず、期待された結果が得られなかった。現在、破壊方法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
期待した結果が得られず、現在、解決策を検討中のため。
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Strategy for Future Research Activity |
候補となる下流領域のドーパミン神経を破壊する方法の検討。他の候補領域のドーパミン神経を破壊し、VMP GABA神経を抑制化あるいは活性化させて睡眠を測定し、ノンレム睡眠量とレム睡眠量に与える影響の解析。
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Causes of Carryover |
組織サンプル保管用の冷凍冷蔵庫が必要な状況となり、翌年度分と合わせて購入を計画したため。冷凍冷蔵庫と消耗品の購入に使用予定。
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