2022 Fiscal Year Annual Research Report
The neurobiological mechanisms of coping strategies avoinding generalization of fear associations in PTSD
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19K06959
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
関 健二郎 奥羽大学, 薬学部, 教授 (50342803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 亨 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (90332329)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視床下部 / コルチコトロピン放出因子 / 糖質コルチコイド受容体 / 鉱質コルチコイド受容体 / 恐怖条件付け / 過誤の恐怖記憶 / PTSD |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに視床下部(Hypo)コルチコトロピン放出因子(CRF)の過剰発現が過誤の恐怖記憶の形成を促進し、Hypo-CRFのノックダウンは、過誤記憶の想起を増強することを発表した。Hypo-CRFは、下垂体で副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進し、このACTHは、副腎皮質でコルチゾール(マウスではコルチコステロン)の分泌を促進することが知られている。コルチコステロン受容体は、主に糖質コルチコイド受容体(GR)と鉱質コルチコイド受容体(MR)があり、非ストレス下ではコルチコステロンはMRに対する親和性がGRに対する親和性よりも高いことが知られている。しかし、持続的なストレスが加わるとGRがコルチコステロンにて占拠されるようになり、その結果コルチコステロン分泌によるCRF分泌抑制(ネガティブフィードバック)が破綻する。そこで最終年度では、Hypo-CRFをセロタイプがpAAV-PHP.eBであるアデノ随伴ウイルスにCRFのshRNAを組み込み、それをマウスの視床下部に0.01μL投与して視床下部CRFノックダウンマウスを作成し、過誤の恐怖記憶の形成機序におけるGRとMRの役割を調べるため、GRとMRのアゴニストであるデキサメタゾンとフルドロコルチゾンをそれぞれ別のマウスに電気ショック後に投与したところ、デキサメタゾン投与群では電気ショックから3時間後の過誤の恐怖記憶が増強し、フルドロコルチゾン投与では過誤の恐怖記憶の想起の増強が阻止された。そこで今度は電気ショック後のマウスにGRの阻害剤であるRU486とフルドロコルチゾンの組合せ投与を行ったところ、3時間後の過誤の恐怖記憶も24時間後の過誤の恐怖記憶の想起の増強も阻止さることが分かった。以上の結果から、過誤の恐怖記憶形成にGR刺激が関与し、過誤の恐怖記憶の想起はMRの機能が低下した状態で生じることが明らかとなった。
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