2019 Fiscal Year Research-status Report
複合ブレンステッド塩基が拓く炭素-水素結合の直截的カルボキシル化反応
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19K06967
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
重野 真徳 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (30571921)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ブレンステッド塩基 / カルボキシル化 / 炭素-水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、2-メチルベンゾチオフェンを反応基質として、ベンジル位炭素(sp3)および芳香族β位炭素(sp2)-水素結合でのダブルカルボキシル化反応を取り上げた。2つのカルボキシル基が同時に導入可能な効率的変換反応である。一般に、1つの目のカルボキシル基の導入によって、分子の求核性が低下するとともに、立体障害が生じるので、ダブルカルボキシル化反応の開発は難しいとされていた。アルコシキド塩基および添加剤(アルカリ金属塩、クラウンエーテル)を検討して、LiO-t-BuおよびCsFを組み合わせた複合ブレンステッド塩基の場合に、目的のダブルカルボキシル化生成物が収率83%で得られた。ところで、強塩基によって2つの炭素-水素結合を脱プロトン化してジカルボアニオン種を発生させた後に、二酸化炭素と反応させる段階的な手法も知られている。ここでは、n-ブチルリチウムやリチウムテトラメチルピペリジド等の強塩基が必要であるとともに、ジカルボアニオンは安定性が低いために、基質適応範囲や官能基共存性は限られていた。一方で、今回の複合ブレンステッド塩基の反応系では、電子供与性基のメトキシ基に加えて、各種ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、求電子性置換基(シアノ基、エステル、アミド)が共存できることを見出した。関連する芳香族複素環化合物として、チオフェン、フラン、ベンゾフラン、インドール誘導体が適応可能であることも示した。また、反応機構解析を実施して、ベンジル位炭素(sp3) -水素結合でまずはカルボキシル化が起こった後に、芳香族β位炭素(sp2)-水素結合でカルボキシル化が進行する反応経路を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時の予定通り、2-アルキル芳香族複素環化合物のダブルカルボキシル化反応系の最適化、基質適応範囲の検討を実施して、多岐の基質で円滑に反応が進行することを明らかにした。さらに、当初は予期していなかった、インドール2位のカルボキシル化に関する基礎的知見も得た。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本反応系を各種芳香族炭素(sp2)-水素結合のカルボキシル化に展開することを目指す。
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