2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of Bicyclo[3.2.1]octene Derivertives via [4+1] Cycloaddition Reaction
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19K06968
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 信樹 東北大学, 理学研究科, 講師 (50400221)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機合成 / [4+1]環化付加反応 / bicyclo[3.2.1]octane / ジメトキシカルベン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、ジメトキシカルベンと環状ジエンの分子間[4+1]環化付加反応によるbicyclo[3.2.1]octaneならびにbicyclo[2.1.1]hexane骨格の1段階構築法の開発を行っている。架橋型二環式骨格bicyclo[3.2.1]octaneおよびbicyclo[2.1.1]hexaneは、低分子創薬において芳香環に代わる次世代の基本骨格のひとつとして期待されているが、従来の合成法では骨格構築に多段階を必要としており、医薬品展開の大きな妨げとなっている。本研究では、この問題を解決すべくジメトキシカルベンとジエンの分子間[4+1]環化付加反応に着目し、従前の合成法ではなし得なかった1段階構築実現を目的としている。 すでに研究代表者は、methyl cyclohepta-1,6-diene-1-carboxylateと2,2-dimethoxy-5,5-dimethyloxadiazolineの熱分解により生じるジメトキシカルベンとの反応によりbicyclo[3.2.1]octaneの1段階構築に成功している。本年度は、この方法が他の基質へも適用できるかを検証すべくヘルミントスポル酸合成への適用を試みた。しかしながら基質の立体障害のためか反応性が劇的に低下してしまい目的物はわずかに得られるのみであった。反応収率を改善すべく種々のルイス酸の添加を行ったが、ジメトキシカルベンを経由しない2,2-dimethoxy-5,5-dimethyloxadiazolineの分解反応が進行してしまい目的物は得られなかった。そこでジエンの電子求引基を種々検討した結果、ペンタフルオロフェニルエステルとすることで反応性が劇的に向上することを見出し、目的のbicyclo[3.2.1]octane誘導体を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジエンの置換基が[4+1]環化付加反応に与える影響についての理解が進んだ。その中でペンタフルオロフェニルエステルが本反応に有効であることを見出した。この知見を基に小麦斑点病菌が産生するセスキテルペンであり、植物ホルモンジベレリンのミミックとして働くヘルミントスポル酸の合成を現在行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
[4+1]環化付加反応の反応条件を詳細に検討し反応効率をさらに高める。また、本反応を用いたヘルミントスポル酸の全合成を達成する。加えて本反応の不斉反応化も試みる計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により参加を予定していた学会が開催中止となったため。研究の進展により必要な試薬の量が増えたため次年度使用額は物品費として使用する計画である。
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Research Products
(17 results)