2019 Fiscal Year Research-status Report
有機分子触媒を用いた光学活性3,3-二置換ピペリジン骨格構築法の開発と天然物合成
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19K06969
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小暮 紀行 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (80396689)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / アルカロイド / マイケル付加 / エナミン / 不斉全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにα,β-不飽和アルデヒドに対してエナミンを求核剤として用いた有機分子触媒による不斉反応の成功例は報告されていない。そこで本反応の開発に着手した。 エナミン基質として3-ethyl-2,3-dehydropiperidineを用い、有機分子触媒を用いたアクロレインへの不斉マイケル反応を検討した。窒素原子の保護基、有機触媒、添加する酸、溶媒などを種々精査し、化学収率98%、光学純度83%で目的物を得ることができた。この化合物は再結晶することにより光学的に純粋とすることができたため、本化合物を鍵中間体として種々の天然物の全合成へ展開することとした。 鍵中間体からインドールユニットの縮合、Pictet-Spengler反応を経て6段階にてビンカミンの全合成を達成した。また鍵中間体から、オキサゾリジンジオン環とインドール環を構築することにより9段階にてロイコミジンAの不斉全合成を達成した。さらに、鍵中間体とアントラニル酸を縮合させ、種々変換することによりロイコミジンCの初の不斉全合成を達成し、その絶対立体配置を決定した。これらの全合成は鍵中間体からいずれも10段階以内であり非常に効率的であることから、本反応の有用性を示すことができた。 さらに、この鍵中間体は数多くのモノテルペノイドインドールアルカロイド(MIA)に含まれる部分構造をもち、MIAには強力な生物活性を有し医薬品として使用されている化合物も多いことから、医薬品開発におけるシード分子の創製に大きく貢献できると考えられ、非常に意義が大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの化合物の全合成を達成できたため、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいるので、実施計画通りに基質一般性の検討と天然物不斉全合成への展開をさらに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
実験スケールを比較的小スケールでおこなったため、次年度使用額が生じた。今年度は実験スケールを大きくして全合成を進めていく予定である。
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Research Products
(10 results)