2022 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子触媒を用いた光学活性3,3-二置換ピペリジン骨格構築法の開発と天然物合成
Project/Area Number |
19K06969
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小暮 紀行 国際医療福祉大学, 薬学部, 講師 (80396689)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルカロイド / 有機分子触媒 / マイケル付加 / エナミン / 効率的不斉全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は有機分子触媒を用いたエナミンのアクロレインへの不斉マイケル反応により、4級不斉中心をもつ3,3-二置換ピぺリジン骨格を立体選択的に構築する反応を開発した。しかし、反応に用いるアクロレインがその毒性のため販売中止となったため、代替品としてアクロレインジメチルアセタールを用いて反応条件の再検討を行い、当初のアクロレインを用いた反応と遜色ない結果(不斉収率81%)が得られる条件を確立した。 今回更なる反応条件の検討を行い、有機分子触媒の触媒量を3%まで減じて2日間反応させることにより、化学収率96%、不斉収率86%で目的の二環性アセタールを得ることができた。有機分子触媒は金属を使用しない環境調和型の触媒であるが、非常に高価であり調製することが容易でない場合もしばしばあるため、触媒量を大きく減じることができた意義は大きいと考えている。また本反応はこれまで手技の熟練した研究者や大学院生が検討をおこなってきたが、新しい所属機関にて有機合成未経験者が行った場合でも再現性良く反応が進行することから、高度な手技を必要とすることのない汎用性の高い反応であると言える。 また、昨年度の検討時は自ら調整した市販していないトリプトファン由来の有機分子触媒を用いた場合に最高の不斉収率が得られたが、今年度は市販のフェニルアラニン由来の有機分子触媒を用いても不斉収率86%で反応が進行した。このように、触媒の構造によって劇的に不斉収率が変化しない点も本反応の長所と考えられる。 現在は本反応を用いたモノテルペノイドインドールアルカロイドの不斉全合成研究を進めており、全合成達成間近である。
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