2020 Fiscal Year Research-status Report
医薬品の後期修飾を志向したアミドの選択的分子変換法の開発
Project/Area Number |
19K06974
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小林 祐輔 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (90509275)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミド / 糖鎖修飾 / 超原子価ヨウ素 / プロドラッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な医薬品シーズを創出するためには、生物活性化合物の効率的な分子変換や修飾・誘導体化が必要である。これまで、比較的反応性の高いアミノ基、メルカプト基、カルボキシル基や水酸基を足掛かりとした修飾反応が主に開発されてきたが、中性のアミドは反応性が乏しいため直截的に化学修飾するのが困難であり、変換する手法も限られているのが現状である。そこで、今回医薬品・天然物などの小分子によく見られるだけでなく、抗体などのタンパク質を構成する基本構造でもあるアミドに注目し、アミドの新規分子変換法によって新たな医薬品シーズを効率的に創出することを目指し検討を行った。①アミドの直截的な糖鎖修 飾法の開発については、これまでに2位が塩素化されたアゾリウム塩をブレンステッド酸触媒として用いることで様々アミドを糖誘導体(グルカールとガラクタール)へ導入できることを見出しており、今回より難易度の高いグルコサミンへの導入を検討した。②機能性ペプチドミメティックの創製については、アミドから容易に合成できるチオアミドと開発した超原子価ヨウ素試薬(オルト位置換型ヨードニウムイリド)を用いることでアミド等価体であるエナミノンを高収率で得ることに成功しており、アルコール溶媒や含水溶媒中でも収率よく進行することから、生体共役反応などへの応用が期待できる。今回、チオアミドのより簡便な合成法について検討を行った。③ペルフルオロアルキルアミド挿入反応については、これまでにアミド化試薬を合成することに成功しており、今回アルキンへの導入反応について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①アミドの直截的な糖鎖修飾法の開発については、2-デオキシ糖による修飾反応を開発し論文化に至った。グルコサミンへの導入についても、適切なイミン型保護基を見出し現在論文を作成している段階である。 ②機能性ペプチドミメティックの創製についても、期待通りの反応が進行してすでに論文化している。チオアミドの改良合成法にも成功し、論文化を行った。 ③ペルフルオロアルキルアミドがアルキンに光照射条件で挿入することを見出し、現在論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
①アミドの直截的な糖鎖修飾法の開発については、GlcNAcへの直截的なアミド導入を目指し、触媒構造の改変を計画している。 ②機能性ペプチドミメティックの創製については、チオアミドの改良合成法の開発に成功したので、ヨードニウムイリドの多様な合成法について検討を行う。 ③ペルフルオロアルキルアミド挿入反応については、アルキンへの挿入反応を見出すことができたので、次年度は芳香環への直截的な導入反応を検討する。
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Causes of Carryover |
謝金を支払っていた博士研究員が、途中で面接を受けるために本国へ帰国したため。差額は次年度の消耗品費として使用する予定である。
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