2019 Fiscal Year Research-status Report
環境応答型含窒素芳香族アミドを基盤とした新機能性分子の創製
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19K06978
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡本 巌 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (80307074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 芳香族アミド / 立体構造変換 / フォールディング / 大環状化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主として、大環状構造を有するピリジルアミド化合物の合成法改善に注力した。 これまで大環状アミド化合物の合成は、単量体である(N-アルキルアミノ)ピリジンカルボン酸を縮合させる方法で行ってきたが、第一級アミンとは異なり、芳香族N-アルキルアミンの反応性が低いことはよく知られており、通常のアミド・ペプチド縮合剤では反応が進行しないことから、塩化チオニル等を用いた過酷な条件で行ってきた。しかしピリジンカルボン酸ではその酸塩化物の安定性が安息香酸誘導体と比べて著しく低いことから、効率的な合成が容易ではなく、新規な方法が必要であった。本研究に着手する直前に見出していた新たな条件である、Ghosez試薬を用いた縮合反応では、これらの状況を改善する可能性を見出しており、この一般化に取り組んだ。 通常の還化反応で主生成物として得られる3量体の収率向上と簡便な手法の確立を目指し、N-アルキル基部分を種々の置換基とした基質に関する反応を行った。その結果、数種のアルキル化体およびベンジル化体において、いずれも良好な結果を得ることが出来た。4量体以上の大員環化合物については、分離を行っていないために詳細な結果は得られていないが、全般的に収率が改善している。 また一般的な還化反応では、3,5,4,6・・という各量体がこの順に多く得られてくるが、今後の展開として興味を持っているのは、3量体の他には4量体および6量体である。特にこれらの収率改善のため、鎖状2量体を基質として用いた還化反応を試み、これによって主として偶数量体が得られるという合成ルートに関しても見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大環状化合物の効率的な合成について、従来の方法よりもより良好に行うことができる見通しが立った。これらによって、新たな置換基を有する大環状含ピリジル型芳香族アミドを合成しつつある。また、種々のアルキル置換基をアミド窒素上に持つ大環状化合物のうち一部の化合物については、溶液中の立体構造、或いは結晶構造を得ている。これらは今後、立体構造の一般的な傾向を解析し、更なる設計を行う指針となる。 酸性度等の外的環境変化に対する応答、若しくは立体構造変換については未だ着手していないが、今後の検討課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
大環状化合物の効率的な合成方法について、従来法と比べて大いに進歩があったが、まだ改善すべき点がいくつかある。合成目標分子である3量体及び偶数量体の合成を進めつつ、これらの課題を解決していく。 立体構造の解明は、溶液中におけるNMR解析、特に低温測定を進めていくことで知見を得られる。これまで得られている断片的な結果からある程度の予測が出来ているが、今後これを系統的に行い、立体構造特性の解明につなげていく。またその立体構造解析を基にして、更に新たな機能特性を期待できるようなアミド化合物のデザインと合成を行う。 更に酸性度等の外的環境変化に対する応答、若しくは立体構造変換について検討し、一般的な傾向を得ることを試みる。
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Research Products
(4 results)