2021 Fiscal Year Annual Research Report
N―S結合及びN―N結合における立体化学の解明と機能性分子創出への応用
Project/Area Number |
19K06980
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
高橋 秀依 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (10266348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 清美 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (60232435)
佐藤 恭弘 帝京大学, 医学部, 助教 (00750241)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミド / スルホンアミド / 軸不斉 / 銅錯体 / Menkes病 |
Outline of Annual Research Achievements |
スルホンアミドの軸不斉について、X線結晶構造解析の結果から多くの情報を得ることができた。まず、窒素の結合角及びN-S結合の結合距離から、スルホンアミドのN-S結合は二重結合性を有していることがわかった。スルホンアミドにおいて、スルホニル基との共鳴構造を持たないにもかかわらず、N-S結合が二重結合性を有していることは非常に興味深い。アミドとスルホンアミドはともに軸不斉を有し、類似の構造と考えられているが、両者の構造的特徴は異なることが明らかになった。また、チオセミカルバゾン誘導体の合成を行い、N-N結合には二重結合性があることをX線結晶構造解析から確認した。このチオセミカルバゾンを配位子として用いて銅錯体を形成すると、Menkes病の治療薬候補となり得る。これらに加えて今年度はキノキサリン誘導体にチオセミカルバゾンを導入した新たな配位子の合成に成功し、銅錯体化も行った。Menkes病の治療薬としての有用性を共同研究者に調べていただいたが、残念ながら脳への銅の送達がなされていないことがわかった。また、S-S結合を有する新規な環状化合物の創出にも成功した。本化合物はS-S結合が立体的にかさ高いため、6員環や7員環では、単結合のねじれが認められた。X線結晶構造解析の結果から、本化合物は結晶中では軸不斉を有することが示唆され、溶液中のNMRからも同様な軸不斉をもたらす立体構造が存在することがわかった。今後はS-S結合についても立体化学を検討していきたい。
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Research Products
(7 results)