2020 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性克服作用活性ピロロアゾシンインドールアルカロイド類の網羅的不斉全合成
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19K06982
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
横江 弘雅 星薬科大学, 薬学部, 助教 (10613622)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱芳香化 / スピロ環 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に開発した脱芳香化を伴ったジアステレオ選択的な二重環化反応を用いて様々なジスピロ環化合物を合成した。本反応においては、溶媒の選択が極めて重要であることを明らかにした。即ち、極性が高く、かつ、求核性の低い溶媒において良い結果を与えた。最終的に 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール (HFIP) を用いた場合に、これまでで最も良い結果が得られた。またアミド窒素上の置換基の立体的な大きさが、ジアステレオ選択性に影響することを見出した。具体的には、メチル基などの小さな置換基では立体選択性が低く、ベンジル基などでは中程度の選択性を与え、ナフチルメチル基などでは高いジアステレオ選択性を示した。一方で、置換基の電子的な性質はジアステレオ選択性には影響しなかった。即ち、メトキシ基の置換した芳香環やトリフルオロメチル基の置換した芳香環を有する化合物を基質として用いた場合には、両者の間に目立った差異は認められなかった。さらに立体選択性発現メカニズムに関する考察から、これまで合成してきた立体化学を有する環化化合物とは反対の立体化学を有する化合物についても、合成可能であることを実証した。本反応は、ピロリジン環化合物以外に、ラクトン環を有する化合物の合成にも適用可能であり、収率よく環化成績体を得ることができた。この結果は Chemistry An Asian Journal 誌に掲載され、本誌15巻24号の表紙に選ばれた。さらに、これらの結果を上回るより高いジアステレオ選択性を示す反応条件を新たに見出すことにも成功した。これについては、基質一般性について今後詳細な検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ジアザジスピロ環化合物合成については、上述のように様々な誘導体を用いて反応を行い、ジアステレオ選択性の傾向を探るとともに、多様な誘導体を合成することができた。さらに、本反応条件は、ラクトン誘導体など異なるヘテロ原子を持つジスピロ環化合物合成に対しても適用できることを見出した。さらに、ジアステレオ選択性の高い新たな反応条件を見出すことにも成功した。一方、ピロロアゾシンインドールアルカロイドの全合成においては、アゾカン合成が低収率であり、さらなる検討が必要である。鍵となる環化反応において予想以上に高い選択性を示す反応条件を見出すことができたが、目的の一つであった全合成を完了できていないことから、現在の進歩状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ジアザジスピロ環合成法は、新たにこれまでよりも高いジアステレオ選択性を示す反応条件を見出すことができた。本反応が、アニリン誘導体にも適用可能かどうか検討を行う。同時に、全合成達成に向けてアゾカン合成法の収率改善、その後の合成工程に関する検討を進める。
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Causes of Carryover |
99%の助成金は支出していることから、ほとんどは計画通り執行することができたと考えている。また、繰り越した分については、次年度の消耗品費に充てる。
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