2021 Fiscal Year Annual Research Report
C-H 閉環プロセスによる複素環構築を基軸とした未踏分子変換プロセスへの挑戦
Project/Area Number |
19K06984
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
稲本 浄文 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (30359533)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭素-水素結合官能基化 / 遷移金属触媒 / 分子内プロセス / 複素環化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
「複素環化合物」は,多くの合成医薬品や生理活性天然物,あるいは機能性材料の母核を構成する,極めて重要な化合物群のひとつであるが,既存の複素環合成手法には,実用的に用いることが困難なものも多く,効率的・選択的複素環構築法の開発は,今なお重要な研究分野といえる.申請者はこれまで,化学的に不活性な炭素-水素結合の直接的な官能基化(いわゆる『C-H 官能基化』)を分子内反応に適用(C-H 閉環)することで,様々な複素環類の新規合成法の開発をおこない,成果を挙げてきた.昨年度までに,2-ベンジルベンズアミド誘導体にパラジウム触媒を適用することにより,C-H 閉環プロセスを経由したイソインドリノン環合成が可能であることを見出していた.今回,最適反応条件を用いたさらなる基質適用範囲の拡大を検討し,本反応が基質一般性をもって進行することを明らかとした.閉環反応に関与する窒素原子上の置換基の効果についても系統的に評価をおこない,メタンスルホニル基が最適であることが判明した.反応機構解明を目指した検討の結果,反応系中にて水素ガスが生成していることが分かった.これにより,従来同様の反応にて添加が必須であった再酸化剤の使用が不要となる,新規『脱水素型 C-H 閉環反応』の開発に成功した.今後,他の複素環合成にもこの『脱水素型 C-H 閉環反応』が適用できれば,従来法に比べてより効率的・低環境負荷型の複素環構築手法を幅広く提供できると考えている.
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