2020 Fiscal Year Research-status Report
酸素酸化触媒を活用した環境調和型脱水素環化反応の開発
Project/Area Number |
19K06985
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
松本 健司 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (20531817)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 不均一系触媒 / 酸素酸化反応 / ビアリール / 酸化カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、グリーン触媒の「不均一系触媒」とクリーンな酸化剤「酸素」を組み合わせて用いる不均一系酸素酸化反応に着目し、効率的で環境にやさしい直截的分子変換プロセスの開発を目指している。これまでに芳香族アミン類の酸化的ビアリールカップリング反応や芳香環C-H結合の触媒的アシロキシ化反応などの開発に成功している。本研究では、これまでの成果をさらに発展させるべく、クロスカップリング反応の開発、分子内アシロキシ化反応およびカルバゾール化反応の開発に取り組む。 分子内アシロキシ化反応では、これまでの知見で見出した反応条件を用いて基質適応性を検討した。2-ナフチル安息香酸の安息香酸部位に様々に置換基を導入した基質の反応は、いずれも良好な結果を与えた。そしてArnottin Iと類似の置換様式で酸素置換基を導入した基質の反応も同様に進行し、天然物合成に重要な足がかりを得た。しかし、Arnottin I前駆体の酸化的C-Hラクトン化反応を実際に試みたところ、期待した結果を得ることはできなかった。そのため各種酸化的C-Hラクトン化反応を検討した結果、Arnottin Iの短段階合成に成功した。現在、収率改善に向けて検討を進めている。 カルバゾール化反応では、芳香族アミンの分子内脱水素カップリング反応により良好な結果を得た。その時にジアリールアミンの構造により、分子間カップリング反応に引き続き脱芳香族スピロ環化反応が連続的に進行することを初めて明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、アシロキシ化反応やそれを利用したArnottin Iの合成、そして分子内脱水素カップリングによるカルバゾール合成法の開発に成功しており、当初の計画通り順調に進行している。これと並行して、今年度はタンデム型脱芳香族スピロ環化反応を見出すことにも成功した。本反応は、合成容易な原料から複雑な複素環骨格を触媒的かつワンポットで与えることから、含窒素機能性分子の低環境負荷合成法として期待できる。以上の結果から、現在のところ当初の計画以上に進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで計画した研究を行う上で特段の問題は生じていない。そのため、当初予定した研究に変更の必要はなく継続して研究を推進する。今後の予定としては、上記反応の展開および脱芳香族スピロ環化反応の開発に取り組む。これまでの研究で見出した最適条件を活用し、基質一般性を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
当初、分取HPLC用ポンプの購入を計画していたが、新規に導入したリサイクル分取HPLCシステムを兼用することが可能となったため、ポンプは購入せず未使用額が生じた。次年度は、老朽化した解析装置の更新および基質一般性に関する検討を予定しており、試薬を中心に多数の物品購入が見込まれる。また繰り越した研究費と合わせてこれらの物品購入に研究費を使用する予定である。
|