2019 Fiscal Year Research-status Report
元素置換戦略が拓くケイ素含有天然物様ライブラリーの構築とケミカルスペースの拡大
Project/Area Number |
19K06989
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 章公 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50581683)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ケイ素 / 天然物 / 新規骨格 / ケミカルスペース / 生物活性 / ライブラリー / ラジカル環化反応 / テルペノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
天然資源から構造的に多様な新規化合物の取得率は減少傾向の一途を辿っている.このような背景のもと, 代表者は新たな創薬シーズの獲得のため, 生物の生合成によっては得られない構造多様な化合物の創出によるケミカルスペースの拡大を目的に研究を行っている. これを達成するために代表者は,炭素原子と同様の結合様式をとるケイ素原子を天然物の分子内に組み込み,ケイ素原子周辺の官能基を含め炭素原子では構成しにくい分子骨格を創出する戦略を立案した.本研究では, とくに生物活性を有する天然物テルペノイドに着目し, それらを模倣した様々な環数のケイ素原子含有テルペノイド様化合物を設計した . テルペノイドは, 多様な構造と多彩な生物活性を有し, 環の数や員環数が異なると生物活性の変化することが多数報告されている. したがって, ケイ素原子を含む周辺の官能基を導入することによって, 炭素原子では構築しにくいケミカルスペースが創出され従来とは異なる生物活性の発現が期待できると考えた. まず代表者は, 目的とするケイ素原子含有テルペノイド様化合物群を構築するために, その構造を単純化したケイ素原子含有六員環化合物の合成に着手した. クロロジフェニルシランから 3 段階の合成を経て環化前駆体へと変換した後, チタノセンジクロリド,マンガンを用いるラジカル環化反応を行うことで, 目的の環化体を得ることができた. 本検討により, ケイ素原子含有テルペノイド様化合物の合成経路を構築することができた. さらに, 開発した環構築方法を応用し, 連続した二環式骨格の合成を達成し,十数種類の化合物群を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の一年目の研究計画として,ケイ素原子含有テルペノイド様化合物の合成経路の確立を目標としていた.代表者は,研究実績の概要に記載したように,独自の合成経路に基づき,ケイ素原子含有テルペノイド様化合物の合成法を確立した.したがって,本研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,本研究の目的が達成できるように研究計画に基づき推進していく予定である.具体的には,研究計画に従い,ケイ素原子含有テルペノイド様化合物のライブラリー化を行う.さらに,それらの生物活性評価を行うことで,得られた化合物ライブラリーの有用性を示す.
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した. (使用計画) 今年度の請求額と合わせて,次年度に計画している研究の遂行に使用する.
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