2019 Fiscal Year Research-status Report
水溶液中でのホウ素触媒による直接的アミド化反応の開発
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19K06994
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北村 正典 金沢大学, 薬学系, 准教授 (80453835)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 直接的アミド化 / ホウ素触媒 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで報告されている触媒的アミド化反応の研究において,二核ホウ素錯体が重要な中間体であることが報告されている(Chem. Sci. 2018, 9, 1058)。また、その形成段階に最もエネルギーを要することがDFT計算によって求められている。しかし,これまでのボロン酸触媒を用いたアミド化反応では,そのほとんどにおいて単核錯体が用いられ,反応系中における二核錯体形成が予想されている。はじめからボロン酸部位ふたつを結合した触媒を用いれば,重要中間体の形成においてエントロピー的に有利になるのではないかと考えた。そこで,硫黄や酸素原子などでふたつのボロン酸触媒部位を架橋した触媒の合成を行ったところ,中程度の収率で所望の触媒を得ることができた。 これらのボロン酸触媒を用いて,アミド化反応の条件検討を行った。特に,本反応では酸と塩基の絶妙なバランスにより触媒活性が変化する可能性がある。そこで,酸となる出発物のカルボン酸と,塩基となる出発物のアミンの化学量論,またこれらの添加順について詳しく検討を行った。 また,二種類のボロン酸を組み合わせるとよい結果を与える例があること(Eur. J. Org. Chem. 2013, 2013, 5692)から,二核ボロン酸触媒に,さらにもう一種類の市販ボロン酸を組み合わせて反応の検討を行った。すると,それぞれ単独にボロン酸触媒を用いた時よりも,より良い結果を与えることが分かった。 さらに,市販の単核ボロン酸に,ルイス塩基としてハロゲン化物を添加すると僅かではあるものの,目的生成物であるアミドの収率が向上することを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に記した通り,二種類のボロン酸を組み合わせた触媒反応系に効果があることを示した。また,弱いルイス塩基としてハロゲン化物を添加すると僅かではあるが効果のあることを明らかとした。得られた成果は,アミド化触媒反応において学術的に重要な知見となると思われ,その波及効果が高いと期待される。今後,二核ボロン酸触媒を用いたことが,結果とどのような因果関係なのか明らかとすることが課題となる。 また,本課題の元来の研究目的ではないが,アミド化反応に関する知見を利用して,トリアジンのπ電子不足性およびその類縁体を用いたアミド化反応の開発に至った。以上の理由からおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
二核ボロン酸錯体が,どのように触媒サイクルに関わっているのかを明らかとしていきたい。また,二種類のボロン酸を組み合わせた二核ボロン酸触媒の開発に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は購入するガラス器具や試薬の支出が少なくなるよう努めた。これは,該当年度において研究の種が見つかり,次年度で研究が大きく進展することが見込まれたため,ガラス器具や試薬の支出が増えると予想されたためである。
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