2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Catalytic Asymmetric Reactions of Unprotected Carboxylic Acids
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19K06997
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小谷 俊介 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 教授 (50551280)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有機化学 / 触媒化学 / 不斉反応 / アルドール反応 / 創薬化学 / カルボン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目における本課題では、カルボン酸に加えてニトリル、アミド、エステルなどの様々なカルボン酸誘導体に関する検討に加えて、多様な求電子剤との組み合わせに関する広範な検討を実施しました。当該反応条件では、ニトリルやエステルに関して良好な結果を得ることができませんでしたが、特定のアミドを効果的に活性化できることを見出しアミドを基質とするアルドール反応が進行することを明らかとしました。本結果は、令和3年3月の日本薬学会年会にて口頭発表を行い、研究成果として公表しました。さらに上記の検討と並行して、塩化ケイ素試薬を用いた新たな基質の活性化方法について探索し、特定の反応条件(非公表)においてトリクロロシランが活性化されることを見出しました。トリクロロシランなどの反応試薬を保管する防爆対応冷凍庫が故障しましたが、本研究予算により購入しました。なお、本年度は3報の査読付き論文の報告と7件の学会発表を具体的な研究成果としてそれぞれ公表しました。前年度からその数を減らすことなく、コロナ禍で様々な対応が求められた1年間において一定の研究成果をあげることができたと考えています。以上のことから、本年度は、コロナ禍においても研究活動を大きく停滞させることなく、順調に研究計画を遂行することができたと考えています。 なお、最終年度となる次年度においては、令和2年度に不十分であった成果報告活動も再開し、研究成果を積極的に発表していきたいと計画しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にあたる令和2年度は、年度初めに4、5月の緊急事態宣言の影響がありましたが、それ以降は研究活動が滞ることなく、基質検討、反応探索、塩化ケイ素試薬による新たな方法論の探索など予定していた研究内容を、おおむね計画通りに実施することができました。特に本年度では、これまで基軸としてきたカルボン酸およびその誘導体の求核的活性化の検討に加えて、それらを活性化する四塩化ケイ素やトリクロロシランの反応性に関する新たな知見を得ました。これらの結果は、次年度以降の研究展開に繋がる重要な知見であり、本成果を基軸とした研究課題の深化が期待できます。一方で、コロナ禍における研究成果の周知は成果と比較して十分に実施することができませんでしたので、次年度は論文作成や学会発表などにも注力していく必要があると考えています。 以上の理由から、コロナ禍の中で可能な科学研究を遂行できていることから、おおむね順調に進展していると判断しました。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間は、上述したとおり、おおよそ研究計画どおりに進展しており、最終年度となる令和3年度においても引き続き当初の研究実施計画に従い研究を進めて行くことで着実な研究成果に結びつけていきたいと考えています。令和2年度までの検討で得られた有望な研究結果を基軸として、本研究課題の具体的な研究成果を示していきます。また、これまでの検討で得られた知見を複合的に活用することで、挑戦的課題として予定・計画していた化学選択的な分子骨格構築反応の開発に本格的に着手します。本年度に関しましては、化学選択的な分子骨格構築反応の開発について比重を大きくとり、これまでの有機合成化学では難しかったユニークかつ効率的な分子変換法を明示します。以上のことから、最終年度にあたる令和3年度は、これまで得られた知見を具体的な研究成果に結びつける1年として研究を進めていきます。令和2年度では、研究成果の公表活動が停止していたため、積極的に学会活動(状況によっては国際学会にも積極的)に参加する予定です。
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Research Products
(11 results)