2021 Fiscal Year Annual Research Report
ビシクロ骨格の高度遮蔽能によるチアゾリニリデン系NHCの反応性制御に関する研究
Project/Area Number |
19K06998
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石塚 忠男 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (60176203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビシクロ環 / NHC / チアゾリウム塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビシクロ[2.2.2]オクタン系にしてもビシクロ[2.2.1]ヘプタン系にしても、チアゾリウム塩については、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環を有するものの合成に成功し、X線結晶解析により構造データをえることにも成功している。 Ag錯体として安定なものを単離することは出来ていないが、反応系中でCu錯体へと変換後に反応に用いることには成功している。 反応条件の最適化までは至っていないが、反応性の確認は出来ており、NN系と類似の傾向を見出している。 アルデヒド類との反応については、触媒的反応までは到達できていないが、付加体の可能性のあるものは得られており、今後の構造決定が期待されるところである。 ビシクロ環に結合した芳香環の違いによる金属錯体の構造変化については、当初の予想とは異なり、錯体形成時の金属の種類により挙動が異なることが示唆される結果を得ている。芳香環は錯体中では金属中心への立体障害として機能するものと考えてその、大きさ、を変化させたのであるが、共役系の拡張による電子状態の変化によるものなのか、嵩高くなっているにも関わらず、金属ー芳香環間の距離が小さくなっているものがあることが明らかとなった。これは、何らかの引力が働いている事を意味し、芳香環から金属原子への空間を隔てた電子的相互作用の存在を示唆するものであると考えている。 今後、計算科学的手法を活用することで、この相互作用について解明していくことが課題となってきたと考えている。
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