2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K06999
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山越 博幸 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (30596599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラジカル環化反応 / 青色LED / アイルランドークライゼン転位 / 光学分割 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝統薬成分カドコッシラクトンAの初の全合成を目指し、本年度はCDE環フラグメントの合成研究に取り組んだ。はじめに、当研究室で開発したキラル合成ブロックから二工程でNHP(N-ヒドロキシフタル酸イミド)エステルを調製し、E環の構築を試みた。その結果、NHPエステルにルテニウム触媒とアクリル酸メチル存在下で青色LEDを照射した場合に、脱炭酸、アクリル酸メチルへの付加、環化が一挙に進行して望みの三環性化合物が得られることを見出した。得られた四種の異性体を分離して構造解析を行った結果、主生成物は望みの立体化学を持つことがわかった。なお、脱炭酸が起こるとC17位の立体化学はいったん失われるはずだが、C17位のエピマーを用いると、3つの全く異なる立体異性体が得られた。続いて、本ラジカル環化反応の条件下で環化生成物のC8―C14位へ二重結合を導入するため、塩素原子が置換したNHPエステルの調製に着手した。リパーゼによる光学分割を経て得た塩素原子を持つアリルアルコール(80% ee)とα-ブロモラクトンの環縮小エステル交換反応は良好な収率で進行した。しかし、テトラヒドロフランカルボン酸エステルのIreland―Claisen転位は塩素原子に起因する立体反発のため低収率に終わった。また、わずかに得られた生成物から導いたNHPエステルをラジカル環化条件に附すと、期待した付加/環化/フラグメンテーション連続反応が進行したものの、主生成物は望まないC17位エピマーであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
企図した連続反応によりヒドロインダン骨格の構築には成功したが、フラグメントの完成には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ラジカル反応の収率・選択性を改善してCDE環フラグメントを完成させた後、B環フラグメントとのカップリング反応などを経てカドコッシラクトンAの全合成を達成する。
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