2019 Fiscal Year Research-status Report
選択的光酸素化を用いた革新的タンパク質間相互作用阻害戦略の開発
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19K07001
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
谷口 敦彦 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (30790125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光酸素化 / マイオスタチン |
Outline of Annual Research Achievements |
23残基のアミノ酸からなるマイオスタチン親和性ペプチドとオン/オフスイッチ機能を有する光酸素化分子のコンジュゲートを用いた、マイオスタチンの光酸素化に関する研究を実施した。まず、ペプチド部位と光酸素化分子部位をそれぞれ合成し、両者を銅触媒ヒュースゲン環化付加反応によって連結することで、目的のコンジュゲートを獲得した。次に、その光酸素化能について評価した。本コンジュゲートはマイオスタチンを効率的に光酸素化し、さらにその光酸素化はマイオスタチンに対して選択的に起こる結果を得た。また、HEK293 細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイ系において、酸素化されたマイオスタチンは、その活性を顕著に失っていることを確認した。以上の結果は、本コンジュゲートによる光酸素化によって、マイオスタチンとその受容体タンパク質との結合を効率的に阻害したことを示し、これは本手法によるタンパク質-タンパク質間相互作用 (protein-protein interaction: PPI) 阻害の初めての成果として重要であると考える。本成果を、H. Okamoto et. al. “Inactivation of myostatin by photo-oxygenation using catalyst-functionalized peptides”, Chem. Commun., 2019, 55, 9108-9111. にて報告した。また本成果は、国内学会 3 件、国際学会 4 件で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は目的の機能を有するペプチド-酸素化分子コンジュゲートを一つ獲得することに成功し、その成果を発表することができた。したがって、本課題は現在まで順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画通り、本年度に得られたペプチド-酸素化分子コンジュゲートの化学構造をブラッシュアップする研究に展開する。本研究によって、酸素化能、選択性等においてより優れた性質を持つコンジュゲートの獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
次年度では、複数種のコンジュゲート群を合成し、細胞実験を含めた機能評価を行い、比較検討していく予定である。したがって、本年度よりコンジュゲート数が増え、使用額の増大が予想されることから、翌年度分として請求した助成額と合わせて使用していく予定である。
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Research Products
(13 results)