2019 Fiscal Year Research-status Report
硫黄元素の特性を活かした光学活性有機リン化合物の合成展開
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19K07002
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平島 真一 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (80642264)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 第二級ホスフィンスルフィド / 光学活性有機リン化合物 / ヒドロホスホニル化反応 / ヒドロホスフィニル化反応 / β-アミノホスフィン誘導体 |
Outline of Annual Research Achievements |
置換する官能基により性質が大きく異なる有機リン化合物は、ルイス塩基、ブレンステッド酸、生理活性物質の機能性素子として、近年、開発が進められている。しかしながら、その不斉合成手法は多様性に欠けているため、有機リン化合物の有用性研究が遅れている。本研究では、硫黄元素の特性を活かしたキラル有機リン化合物の新規効率構築法の確立を目的とする。本年度は記載した計画に基づき、第二級ホスフィンスルフィドを用いる不斉ヒドロホスフィニル化反応について検討を行った。特に、求電子剤としてニトロアルケンに対する不斉ヒドロホスフィニル化反応の開発を行った。触媒検討の結果、活性水素が反応時間、目的生成物の収率および立体選択性に大きく影響することを明らかとした。この知見を基に、様々な新規有機分子触媒を設計し、合成した。最適条件を探索した結果、種々のニトロアルケンや芳香族第二級ホスフィンスルフィドを用いても目的性生物を高収率、高立体選択的に得られた。第二級ホスフィンオキシドを用いる不斉ヒドロホスフィニル化反応と比較して、反応時間の大幅な短縮、立体選択性の向上および有機溶媒への溶解性向上が見られ、非常に興味深い結果となった。本手法により、対応するキラルβ-アミノホスフィン誘導体を簡便に得ることができる。キラルβ-アミノホスフィンは不斉配位子や有機リン触媒として利用されており、価値の高い分子群を、合成容易なニトロアルケンから簡便に誘導する手法を開発したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二級ホスフィンスルフィドを用いる不斉ヒドロホスフィニル化反応の最適触媒の検討および新規有機分子触媒の合成を行うにあたり、当初予定していた以上の時間を要した。そのため、不斉ヒドロホスホニル化反応に関しては、初期段階である。しかしながら、両反応とも同じような反応機構で進行すると考えられているため、速やかに最適条件の検討をすることが可能である。以上のことから、当該研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
第二級ホスフィンスルフィドを用いる不斉ヒドロホスフィニル化反応の開発において順調な進展が見られている。今後はさらなる適用拡大と有用な化合物への誘導検討を行い、その機能性についても調査する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に計画している不斉ヒドロホスフィニル化反応の触媒合成検討において、予定していた以上の時間を要した。そのため、使用予定であった不斉ヒドロホスホニル化反応に関する研究経費が残ることとなった。これを次年度に持ち越し、一年目に計画していた不斉ヒドロホスホニル化反応に関する研究経費に使用する予定である。
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