2019 Fiscal Year Research-status Report
構造情報を基とした抗リウマチ薬MTXの炎症性シグナル伝達系における作用機序の解明
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19K07011
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
松村 洋寿 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (60741824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
面川 歩 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (80722066) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メトトレキサート / 抗関節リウマチ薬 / マクロファージ遊走阻害因子 / 中性子構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
メトトレキサート (MTX)は、関節リウマチ治療のアンカードラッグとして、現在広く用いられており、臨床経験的にその高い有効性が認められている。MTXの薬効は免疫抑制及び免疫調節効果に基づくと考えられているが、その作用機序には不明な点が多い。我々はこれまでに、MTX固定化樹脂を用いたドラッグアフィニティークロマトグラフィーにより、MTXに特異的な結合を示す複数種のタンパク質を同定することに成功している。それらのタンパク質のなかで、本研究は、受容体CD74を介してシグナル伝達する炎症性サイトカインのマクロファージ遊走阻害因子(MIF)に着目し、MIFの機能に及ぼすMTXの阻害作用について、タンパク質間相互作用解析、結晶構造解析により分子レベルで明らかにすることを目的としている。本年度は、MTXとMIFまたはCD74とMIFの複合体形成に重要な水素結合状態を解析するために、MIFの中性子構造解析を行うことを目的として、MIF大型単結晶の作成を行った。初めに、結晶化条件のスクリーニングを行った。さらに、スクリーニングで単結晶が得られた条件をもとに、タンパク質濃度、沈殿剤濃度、緩衝液のpH、サンプルドロップ量、結晶成長温度などを検討し結晶化条件を最適化した。その結果、1辺1mm以上となる大型のMIF単結晶を得ることができた。得られた大型結晶を用いて、J-PARC MLFのBL03 iBIXにおいて中性子回折のテスト測定を行った。中性子ビームを8時間照射したところ、最大分解能2.0Åの回折スポットが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶化条件のスクリーニングを行い、中性子回折のテスト測定が行える1辺1mm以上のMIF単結晶の大型化に成功した。また、中性子回折のテスト測定により、タンパク質構造内の水素結合状態の議論が可能な分解能2.0Åの回折スポットが得られた。以上のことから、研究全体をとおして、予定通りに推進できていると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、MIF単結晶の全方位での中性子回折実験を行い回折データを取得し、MIF単結晶の精密構造を明らかにする予定である。さらに、MTXとMIF複合体の中性子構造解析に向けて、MIF大型結晶のMTX溶液へのソーキング条件や共結晶化条件を検討する。
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Research Products
(4 results)