2021 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸配列と脂質の組み合わせが膜貫通ヘリックス構造・会合に及ぼす影響の解明
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19K07013
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
矢野 義明 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (60402799)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | transmembrane helix |
Outline of Annual Research Achievements |
GXXXGの周辺配列について、GXXXG配列を持っていても、グリシンを4箇所に導入したヘリックス(GXXGXXXGXXG)では会合が起こらないことが観測されていた。PREDDIMERでは強いパッキングを持ち平行型会合体を形成することが予測されたが、予測と反する結果となった。この解釈として、側鎖の小さいグリシンの数が増加することで、ヘリックス主鎖のフレキシビリティが増大し、会合インターフェースが不安定化していることが考えられた。そこで、FTIRのamide I'吸収スペクトルからヘリックス主鎖のフレキシビリティを比較した。グリシンを4つ含む配列では、amide I'の吸収スペクトルの半値幅が大きくなること、またサンプル調製によって吸収極大波長のばらつきが大きいことが明らかになり。この解釈と一貫していることが明らかになった。また、GXXXG配列をヘリックスの中心からN末端に移動するとヘリックス会合に寄与しなくなることも確かめられた。 これまでの結果と総合して、ヘリックス会合を促進することが知られているGXXXG配列であっても、周囲のアミノ酸配列の影響とともに、膜組成(コレステロール)の影響を大きく受け、繊細・複雑な膜貫通ヘリックス会合制御の挙動が観測された。このことは、アミノ酸配列と脂質の両者の相互作用が、生体膜中での膜タンパク質構造・機能の調整メカニズムになりうることを示唆している。 また、膜タンパク質機能制御機構として重要な観点である、膜ドメインと膜タンパク質の相互作用について、膜ドメイン境界に分配しうる膜貫通ヘリックスの合成・観測系の検討を行った。
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