2019 Fiscal Year Research-status Report
Preparation and application of molecularly imprinted polymers for a drug(s) and its derivatives
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19K07022
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
萩中 淳 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (20164759)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子インプリントポリマー / 分子認識 / 分析科学 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロマジン誘導体[プロマジン (PZ)、クロルプロマジン (CPZ)、メチルプロマジン (MPZ)およびブロモプロマジン (BPZ) に対する分子インプリントポリマー(MIP)[それぞれ、MIP(PZ)、MIP(MPZ)、MIP(CPZ) および MIP(BPZ)]を調製し、これらの MIP における PZ 誘導体の保持および分子認識機構を、LC における保持および計算化学的手法により検討した。その結果、PZ 誘導体 1 分子と メタクリル酸 (MAA) 4 分子が相互作用していることが示唆された。PZ 誘導体の脂肪族アミンと MAA との相互作用およびフェノチアジン骨格の硫黄原子と MAA との相互作用は、PZ 誘導体間ではほぼ同程度の相互作用エネルギーを与えた。PZ 誘導体の芳香族アミンと MAA との相互作用エネルギーの大きさは、置換基効果により、MPZ>PZ>CPZ>BPZ の順であった。CPZ と BPZではハロゲン原子と MAA の相互作用によるハロゲン結合および水素結合が示唆され、PZ およびMPZ では MAA と弱い C-H・・π 相互作用を持つことが示唆された。相互作用エネルギーの大きさは、BPZ>CPZ>MPZ>PZ の順であった。逆相モードでは、PZ 誘導体の log (kMIP - kNIP) 値は log P およびσ-hole( a.u.) と重相関し、MIP における PZ 誘導体の保持および分子認識には、形状認識とともにイオン相互作用、疎水性相互作用およびハロゲン結合が働いていることが明らかとなった。HILICモードでは、PZ 誘導体のlog (kMIP - kNIP) 値は相互作用エネルギーと相関し、MIP における PZ 誘導体の保持および分子認識には、形状認識とともに4種の静電相互作用が働いていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、MIP における PZ 誘導体の分子認識機構を明らかにするために、分子力学 (MM) 法を用いて、PZ 誘導体と機能性モノマーであるメタクリル酸 (MAA)との相互作用を計算化学的手法により明らかにしようと試みた。しかし、得られたMAAとPZ誘導体の相互作用エネルギーとHILICモードにおけるPZ誘導体の保持との間に良好な相関が得られなかった。そこで、MAA とPZ 誘導体との相互作用および相互作用エネルギーの計算には、Gaussian 09 プログラムを用いた。構造最適化は HF/6-311G(d, p)レベルで行い、複合体の相互作用エネルギーは HF/6-311G(d, p) レベルで算出した。また、いくつかの異なる密度汎関数(DFT) 法を用いて、相互作用エネルギーを6-311G(d, p)レベルで計算した。さらに、MAA 同士の相互作用を回避するために、最初に MAA 1 分子を用いて相互作用モードおよび相互作用エネルギーを検討し、MAA 4分子まで追加して相互作用エネルギーを評価した。その結果、PZ 誘導体 1 分子と メタクリル酸 (MAA) 4 分子が相互作用していることが示唆され、HILICモードでは、PZ 誘導体のlog (kMIP - kNIP) 値は相互作用エネルギーと相関し、MIP における PZ 誘導体の保持および分子認識には、形状認識とともに静電相互作用が働いていることを明らかにすることができた。 また、MIP(BPZ) を前処理カラムとして用いるカラムスイッチング LC-UV 法により、CPZ投与後のラット血漿中の CPZ およびその代謝物であるデスメチルクロルプロマジン、クロルプロマジンスルホキシド、クロルプロマジンN-オキシドおよびジデスメチルクロルプロマジンの同時定量に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ワルファリン(WF)とその誘導体(塩素、臭素、メチル、ニトロ置換体)に対する分子インプリントポリマー(MIP)と機能性モノマーである4-ビニルピリジン (4-VPY)との相互作用を明らかにする。分子間相互作用エネルギーの計算には、Gaussian 09 プログラムを用い、 HF/6-311G(d, p) レベルあるいはいくつかの異なる密度汎関数(DFT) 法を用いて、複合体の相互作用エネルギーを計算する。また、4-VPY 同士の相互作用を回避するために、最初に 4-VPY 1 分子を用いて相互作用モードおよび相互作用エネルギーを検討し、4-VPY 3分子まで追加して相互作用エネルギーを評価する。さらに、HILICモードで、WF 誘導体のlog (kMIP - kNIP) 値と相互作用エネルギーとの相関を検討する。 また、プロマジン(PZ)の置換体(フッ素、ヨウ素、メトキシ、ニトロ置換体)に対するMIPを、メタクリル酸(MAA)を機能性モノマーとして用いて調製する。MAAとこれらの置換体の相互作用および相互作用エネルギーを、今年度用いた方法で評価し、今年度得られた結果と比較検討し、相互作用モードおよび相互作用エネルギーの概念の実証を試みる。 さらに、WF誘導体に対するMIPを前処理カラムとして用いるカラムスイッチング LC-UVあるいはLC-MS 法により、WF投与後のラット血漿中の WF およびその代謝物の同時定量に適用する。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた海外出張を取り止めたこと、並びに今年度中に購入予定であった試薬の輸入に時間を要したため購入できなかったことにより、次年度使用額が生じた。 購入予定であった試薬の購入のための物品費、可能であれば予定していた海外出張のための旅費として使用したい。
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