2021 Fiscal Year Research-status Report
Preparation and application of molecularly imprinted polymers for a drug(s) and its derivatives
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19K07022
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
萩中 淳 武庫川女子大学, バイオサイエンス研究所, 教授 (20164759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 奏咲 武庫川女子大学, 薬学部, 講師 (60582666)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分子インプリントポリマー / 分子認識 / 分析科学 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロマジン(PZ)およびその置換体(フッ素、ヨウ素、メトキシ、ニトロ置換体)に対する分子鋳型ポリマー (MIP) を、MAAを機能性モノマー、EDMAを架橋剤に用いて調製した。これらの MIP における PZおよびその置換体の保持および分子認識機構を、1Hおよび13C NMRを用いて解析したところ、MAAとハロゲン原子との相互作用が示唆された。 次に、カルバマゼピン(CBZ)の置換体(2-methyl、2-fluoro、2-chloro、2-bromo、2,8-dichloro、2,8-dibromo置換体)を合成し、CBZおよびその置換体に対するMIPをメタクリル酸 (MAA)を機能性モノマーとして用い、エチレングリコールジメタクリレート (EDMA)およびジビニルベンゼン(DVB)を架橋剤に用いて、多段階膨潤重合法で調製した。また、鋳型分子を用いないで同様に調製したポリマーをコントロールポリマーとして用いた。次に、得られたMIPの保持能および分子認識能をLCの逆相モードで評価した。得られた結果は、架橋剤としてEDMAおよびDVBを用いて調製したMIPにおいて、保持および分子認識能は、2,8-dibromoCBZ > 2,8-dichlorCBZ > 2-bromoCBZ > 2-chloroCBZ > 2-methylCBZ > 2-fluoroCB > CBZの順であった。また、CBZとハロゲン置換体とMAAとの相互作用を、1Hおよび13C NMRを用いて解析したところ、MAAとCBZのアミド基およびハロゲン原子との相互作用が示唆された。これらの結果は、保持および分子認識には、疎水性相互作用、水素結合、ハロゲン結合、分散力等が関与している可能性を示唆していた。そこで、分散力を考慮した密度汎関数(DFT) 法(B3LYP/6-311G(d,p))を用いて、分子間相互作用の解析および分子間相互作用エネルギーの計算を試みたところ、CBZとそのハロゲン置換体とMAAとの間には、CBZのアミド基との水素結合、ハロゲン原子との水素結合が働いていることが示唆された。しかし、詳細な相互作用に関しては、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロマジン(PZ)およびそれらの置換体に対するMIPを、フッ素、ヨウ素、メトキシ、ニトロ置換体に対してMAAを機能性モノマー、EDMAを架橋剤に用いて調製した。これらの MIP における PZおよびその置換体の保持および分子認識機構を、LC における保持および分子認識、1Hおよび13C NMR、計算化学的手法により検討する予定であったが、分子間相互作用の解析および分子間相互作用エネルギーの計算が行えなかった。 カルバマゼピン(CBZ)とその置換体に対するMIPの保持および分子認識能の評価を逆相モード、HILICモードおよび順相モードで行う予定であったが、HILICモードおよび順相モードでのCBZおよびその置換体の保持および分子認識の評価を行うことができなかった。 また、CBZおよびその置換体とMAAとの相互作用を計算化学的手法を用いて明らかにする予定であった。分子間相互作用の解析および相互作用エネルギーの計算には、Gaussian 09 プログラムを用い、複合体の相互作用エネルギーは 6-311G(d,p) レベルで、いくつかの異なる密度汎関数(DFT) 法を用いて計算する予定であった。 また、MAA 同士の相互作用を回避するために、最初に MAA 1 分子を用いて相互作用モードおよび相互作用エネルギーを検討し、MAA 3から4分子まで追加して相互作用エネルギーを評価する予定であったが、現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
プロマジン(PZ)およびそれらの置換体(フッ素、ヨウ素、メトキシ、ニトロ置換体)に対するMIPにおける分子間相互作用および分子間相互作用エネルギーの解析を行い、逆相モード、HILICモード、順相モードにおける保持および分子認識機構を詳細に明らかにする。分子間相互作用解析において、相互作用解析に用いる分子の初期構造が重要であることが分かってきた。そこで、分散力も加味した汎密度関数 (DFT) 法により、エネルギー最小の初期構造を見出すことを試みる。次に、得られた初期構造をもとに、分散力も加味したDFT法を用いて分子間相互作用解析を行う。 カルバマゼピン(CBZ)とその置換体に対するMIPの保持および分子認識能の評価をHILICモードおよび順相モードで行う。次に、カルバマゼピン(CBZ)とその置換体に対するMIPにおける分子間相互作用および分子間相互作用エネルギーの解析を検討し、逆相モード、HILICモード、順相モードにおける保持および分子認識機構を明らかにする。カルバマゼピン(CBZ)とその置換体に対する分子間相互作用の解析においても、PZおよびそれらの置換体に対する計算法を適用する。 また、CBZの置換体に対するMIPを前処理カラムとして用いるカラムスイッチング LC-MS 法を、CBZ投与後の血清中のCBZおよびその代謝物の同時定量に適用する。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、予定していた国内出張および海外出張を取り止めたこと、並びに研究の一部に遅滞が生じたことにより、次年度使用額が生じた。可能であれば、国内出張および海外出張で、成果を報告したい。また、分子間相互作用の解析および分子間相互作用エネルギー計算を自前で行う準備が整ったので、次年度に行う。
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