2020 Fiscal Year Research-status Report
がん間質領域に選択的な悪性度指標の磁気共鳴診断法の開発
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19K07023
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
竹下 啓蔵 崇城大学, 薬学部, 教授 (70175438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 明彦 崇城大学, 薬学部, 教授 (90241348)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マトリックスメタロプロテアーゼ / がん / 電子スピン共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、スピンラベルしたマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)感受性ペプチドをカルボキシデキストランに結合したMMP活性測定プローブでは、水溶液のESRシグナルがブロードにならなかった。これは、水溶性のデキストラン鎖が球塊を形成せずに揺らいでいるためと考えられた。そこで、本年度は、疎水部を持つスチレンマレイン酸共重合体(SMA)にスピンラベルペプチドを結合させることとした。 (1)スピンラベルペプチド結合SMA:SMA(平均分子量1600)に縮合剤ECDを用いてスピンラベルペプチドを結合させた。これをTris緩衝液(pH 7.4)に溶解してESRを測定したところ、線幅が若干増加したが切断後のシグナルを区別するには不十分であった。 (2) スピンラベルペプチド結合SMAの回転運動の抑制:スピンラベルペプチド結合SMAのESRシグナルが十分ブロードにならなかった原因として、分子の回転を十分遅くするには分子量が小さすぎることが考えられた。そこで、ウシ血清アルブミン(BSA)と複合体を形成させて、回転を抑制することを試みた。Tris緩衝液中でスピンラベルペプチド結合SMAとBSAを混合してESRを測定したところ、線幅が顕著に増加することが確認できた。スピンラベルペプチド結合SMA-BSA複合体をTris 緩衝液中でMMP-2あるいはMMP-9と反応させたところ、反応後10分以内に切断前のシグナルと明確に区別できるシャープなシグナルが観測された。また、MMP-2でMMP-9より切断の程度が大きく、使用ペプチドの両酵素に対する感受性と矛盾のない結果であった。 スピンラベルペプチド結合SMA は静脈内投与後血中アルブミンと複合体形成すると予想されることから、本系のin vivoへの展開が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度にマトリックスメタロプロテアーゼ活性評価プローブの検討に時間を要したことに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大で思うように実験ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP)活性測定プローブとして、スピンラベルペプチド結合SMAのアルブミン複合体が有望であることが確認されたため、この複合体のMMP特異性並びにこれの基質としての有効性を評価する。 次年度の計画としては、用いたMMP感受性ペプチドのスクランブルペプチドを合成して、MMPにより切れないことを確認する。また、抗がん剤の研究で同様のペプチドを用いているものがあるため、Kmなどの酵素活性パラメータを測定して比較する。 さらに、細胞系においてはがんの培養細胞に加えたプローブのESRシグナル変化を確認したのち、腫瘍モデル動物の腫瘍部位でのESRシグナル変化を確認する。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、教員の自宅待機や学生の登校禁止措置が取られ、実験をできない期間があったことに加え、遠隔授業の実施等で教育に割かれる時間が予想外に多かったため繰越金を生じた。 次年度以降は2020年度購入予定であった限外ろ過装置の購入やがん細胞やマウスの購入に使用する計画である。
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Research Products
(2 results)