2021 Fiscal Year Annual Research Report
特異的誘導体化法を用いた新規シアリル化糖鎖・糖ペプチド解析法の開発と応用
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19K07025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
津元 裕樹 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (00409385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 質量分析 / 糖鎖 / 糖ペプチド / シアル酸 / 誘導体化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,タンパク質の糖鎖修飾に含まれるシアル酸の結合様式まで容易に区別する質量分析法(MS)を基盤とする新規なシアリル化糖鎖・糖ペプチド解析法の開発と応用研究である. 最終年度は,開発した新規シアリル化糖ペプチド解析法を用い,コホート研究で収集されたヒト血漿への応用を実施した.具体的には,ヒト健康長寿モデルである105歳以上の超百寿者,90歳,80歳,70歳群の四群で各20例を用い,探索的なN型糖ペプチド解析を行った.その結果,91種類のタンパク質に由来する1676種類のN型糖ペプチドが同定された.また,70歳群と比較して相対的定量解析を行い,超百寿者,90歳,80歳のいずれかで変動する366種類のN型糖ペプチドを同定した.特に,二つの急性期タンパク質に由来のものが94種類と多く変動することがわかった.さらに多変量解析を行い,超百寿者群とその他の三群が良好に分離されること,超百寿者群で増加する9種類と減少する1種類のN型糖ペプチドが群間の分離に寄与していることを明らかにした.増加したN型糖ペプチドの糖鎖構造は,ほとんど三分岐糖鎖でシアル酸を二つ以上かつフコースを有していた.特に,シアル酸結合様式がα2,3-結合を一つとα2,6-結合を二つ含む糖鎖は複数の修飾部位で増加していた.同じ血漿検体を用いたN型糖鎖解析においてもこれらの糖鎖が超百寿者群で増加することも明らかにした. 超百寿者群に特徴的なN型糖鎖およびその修飾部位を同定し,このような糖鎖構造変化が健康寿命の要因の一つである可能性が示唆された.シアル酸結合様式まで含めた詳細な解析を容易に実施できることは本研究課題で開発した本解析法の利点と言える.
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[Presentation] N-Glycan profiling in plasma proteins of semi-supercentenarians using sialic acid linkage-specific derivatization and negative-ion MALDI-TOF MS2022
Author(s)
Hiroki Tsumoto, Mako Inuzuka, Takashi Nishikaze, Yusaku Hioki, Md. Amir Hossen, Yasumichi Arai, Kazunori Ikebe, Tatsuro Ishizaki, Kei Kamide, Yasuyuki Gondo, Yukie Masui, Nobuyoshi Hirose, Yoshihiro Hayakawa, Yuri Miura, Tamao Endo
Organizer
70th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics
Int'l Joint Research
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