2019 Fiscal Year Research-status Report
PQBP1はcGASによるI型インターフェロンの発現誘導をどのように抑制するのか
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19K07026
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (30332662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帯田 孝之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (30578696)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タンパク質 / 相互作用 / cGAS / PQBP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAセンサーのcyclic GMP-AMP synthase(cGAS)は、細胞質内においてDNAを認識するとATPとGMPからcyclic GMP-AMP(cGAMP)を合成する。合成されたcGAMPは、小胞体の膜貫通型タンパク質stimulator of interferon gene(STING)を介してI型インターフェロン等のサイトカイン産生を誘導する。cGASは自然免疫応答において重要であり、cGAS経路の機能不全は自己免疫疾患の発症にも関連している。近年、polyglutamine-binding protein 1 (PQBP1)がcGASに結合し、INFの産生を抑制することが明らかとなった。本研究の目的は、cGASとPQBP1の相互作用を調べ、PQBP1によるINF産生抑制のメカニズムを解明することである。今年度はcGASの酵素活性を担うMab21ドメインがPQBP1に結合するのかを調べるために、Mab21ドメインの大腸菌による発現系を構築した。本研究では、cGASの158-522残基をLipoyl domain (LD)との融合タンパク質として発現し、LDのN末端側に付加したHis-tagを利用してアフィニティー精製を行った。その後、TEVプロテアーゼによってLDとcGASを切り離し、cGASをゲルろ過クロマトグラフィーで精製した。PQBP1は従来の方法で発現・精製した。cGAS(158-522)とPQBP1の結合を示差走査熱量測定で調べたところ、明確な相互作用を観測することはできなかった。さらに、His-tag-LD-cGAS(158-522)とPQBP1の共発現系を構築し、両分子の相互作用の有無を調べても相互作用は観測されなかった。以上より、cGASのMab21ドメインはPQBP1との相互作用に寄与しない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cGASのMab21ドメインの発現系およびcGAS Mab21ドメインとPQBP1の共発現系を構築し、PQBP1との相互作用の有無を調べることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行った研究結果から、cGASのMab21ドメインがPQBP1との相互作用に寄与していない可能性が示唆された。cGASは酵素活性を担うMab21ドメインとN末端150残基程度の天然変性領域からなるので、今後は、天然変性領域のcGAS(1-150)がPQBP1に結合するかどうかを検討する。具体的には、共発現系を使用した相互作用解析と示差走査熱量測定(ITC)を用いて、相互作用の有無を調べる。さらに、PQBP1がDNAに結合するかどうかを調べ、DNAセンサーであるcGASの機能にどのような影響を与えるのかを明らかにする。PQBP1とDNAの相互作用解析は、electrophoretic mobility shift assay (EMSA)とITCで行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が704円となったのは、予定よりも消耗品を安く購入できたためである。次年度の物品費に合わせて使用する予定である。
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