2020 Fiscal Year Research-status Report
PQBP1はcGASによるI型インターフェロンの発現誘導をどのように抑制するのか
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19K07026
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (30332662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帯田 孝之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (30578696)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タンパク質 / DNA / 相互作用 / cGAS / PQBP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Polyglutamine tract-binding protein 1 (PQBP1) は逆転写されたHIV-1由来DNAの特異的補助受容体として機能し、サイクリックGMP-AMP合成酵素(cGAS)と複合体を形成してレトロウイルス感染に対する免疫応答を開始し、I型IFN産生を誘導することが明らかとされている。本研究では、26 mer、70 merの一本鎖DNA、50 merの二本鎖DNAを用いてPQBP1とDNAの相互作用解析を行った。26 merの一本鎖DNAはY-form DNAと呼ばれ、一本鎖でステムループ構造をとる配列が含まれている。また、Y-form DNAには不対のグアノシンが含まれており、このようなDNA配列がcGASを高度に刺激し、その酵素活性を特異的に高めると報告されている。70 merの一本鎖DNAは、ステムループ構造をとるHIV-1由来のDNA配列である。HIV由来のDNA配列は、SL1、SL2、SL3と呼ばれる3つのステムループ構造を持つが、SL2がcGAS依存性の免疫応答を最も強く誘導すると報告されている。今回の実験ではSL2に相当する70 merの一本鎖DNAを用いた。50 merの二本鎖DNAは、枯草菌(Bacillus subtilis) 由来のDNA配列であり、ヒト単球細胞株THP-1細胞においてI型IFN産生を誘導すると報告されている。この二本鎖DNAは通常の二重らせん構造をとる。PQBP1がこれらの一本鎖DNA、二本鎖DNAと相互作用するのか、またその結合親和性を調べるために、ゲルシフトアッセイを用いた相互作用解析を行った。その結果、PQBP1は用いた3つのDNAいずれとも結合し、HIV由来SL2 (70 mer)、枯草菌由来DNA (50 mer)、Y-form DNA (26 mer) の順に結合親和性が高いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PQBP1がcGAS依存性の免疫応答を誘導する3種類のDNAに直接結合することを示し、HIV由来の一本鎖DNA、枯草菌由来の二本鎖DNA、Y-form DNAの順に結合親和性が高いことを明らかにしたため、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、PQBP1がcGAS依存性の免疫応答を誘導する3種類のDNAに直接結合することを明らかにした。今後は、PQBP1とDNAの相互作用をさらに詳細に調べるために、PQBP1のDNA結合がDNA配列及び長さに依存するかを調べる。さらに、塩濃度を変化させた結合実験も行い、静電的相互作用の効果についても調べる。また、PQBP1のどの領域がDNAと相互作用するのかを明らかにする。PQBP1は折りたたまれたWWドメインと長い天然変性領域からなるので、PQBP1のフラグメントを数種類作成し、それらがDNAに結合するかどうかを調べる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が32,350円となったのは、予定よりも消耗品を安く購入できたためである。次年度の物品費に合わせて使用する予定である。
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