2019 Fiscal Year Research-status Report
経皮免疫治療のための高分子キャリアを用いたナノDDS製剤の開発
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19K07030
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
牧野 公子 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (40147509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 一成 東京理科大学, 薬学部薬学科, 講師 (10734931)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経皮DDS / 経皮免疫 / β-ラクトグロブリン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)を用いた乳清タンパク質であるβ-ラクトグロブリン(BLG)含有ナノ粒子の調製およびFranzセルおよびげっ歯類皮膚を用いることでその ex vivo 皮膚透過性の検討を行った。有機溶媒に PLGA および BLG を溶解させ、超純水へ分散させることで平均粒子径 60 nm の BLG 含有ナノ粒子の調製に成功した。粒子は、動的光散乱法による粒度分布測定、ゼータ電位測定、BLG 含有率測定により評価された。また、外観は走査型電子顕微鏡により確認した。マウス背部摘出皮膚を使用した ex vivo 皮膚透過試験においては、BLG をフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で蛍光標識し、これを含有した PLGA ナノ粒子を用いた。また、BLG 含有ナノ粒子に対するイオントフォレシスの影響を調査した。イオントフォレシスにおいては、ドナー側に陰極、レセプター側に陽極を接続した。皮膚透過試験の結果から、ナノ粒子化とイオントフォレシスの併用により BLG の皮膚透過性が向上していることが確認された。ナノ粒子化により BLG のゼータ電位の絶対値が増大していたことから、BLG 含有ナノ粒子は BLG と比べてイオントフォレシスによる皮膚透過促進効果が大きいことが示唆される。また、皮膚透過試験後の皮膚切片をを共焦点顕微鏡を用いて観察した結果より、BLG 含有ナノ粒子が毛包に蓄積していることが確認された。この結果は、BLG が毛包を介して皮内に送達されることを示唆する。以上の結果より、抗原タンパク質のナノ粒子化に成功し、経皮免疫においてイオントフォレシスが有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、β-ラクトグロブリン含有ナノ粒子の調製およびその皮膚透過試験の結果より、ナノ粒子化することの有用性を示すことができた。これは本研究の目的である「牛乳アレルギーの経皮免疫治療のためのナノ粒子製剤の開発」の基礎となるものである。特に、皮膚透過経路が確認されたことは重要で、この結果から本ナノ粒子の経皮免疫における利用可能性と更なる皮膚透過性向上のためのナノ粒子設計における指針が得られたことは今後の研究に繋がる成果であり、この研究成果は既にシンポジウムで発表済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、もうひとつの重要な食物アレルギーである鶏卵アレルギーの経皮免疫治療のためのナノ粒子製剤の開発にも注力する。抗原モデルタンパク質としては、鶏卵由来のリゾチームを用いることを計画している。生分解性高分子を用いたナノ粒子化を達成した後は、げっ歯類を用いたナノ粒子の透過試験および経皮免疫試験、樹状細胞を用いた細胞取り込み試験を行う。
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Research Products
(1 results)