2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of Nose-to-Brain Delivery Strategy for Treatment of Dementia Based on Pharmacokinetic and Therapeutic Analyses
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19K07032
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
亀井 敬泰 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (40637451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 真莉子 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70257096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脳内デリバリー / 経鼻投与 / 細胞膜透過ペプチド / Exendin-4 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに、細胞膜透過ペプチド(Cell-penetrating peptide)の一種であるpenetratinが、鼻腔から脳への直接輸送経路(血中を経由しない経路)を介して、インスリンやExendin-4等のバイオ薬物の経鼻投与後の脳移行性を顕著に増大させることを明らかにしてきた。一方、直接輸送経路のうち、嗅粘膜から嗅球への移行および呼吸粘膜から三叉神経を経由した脳幹部位への移行がペプチド薬物の脳内濃度上昇に寄与しているかを解析するには至っていなかった。そこで研究初年度(2019年度)は、in vivo蛍光イメージング装置を用いて、両粘膜からの脳の各部位へのペプチド薬物の輸送効率とpenetratin併用による変化を評価することにより、penetratinによる鼻腔から脳への薬物送達メカニズムを明らかにすることにした。 インスリンおよびExendin-4のCy7標識体をpenetratinと併用しラットに経鼻投与した後、in vivoイメージングにより脳内および三叉神経の蛍光分布を測定した結果、両ペプチドの単独投与時と比較して、penetratin併用投与時に三叉神経への分布が低下する傾向が認められた。また、ペプチド薬物単独投与時においても、三叉神経の蛍光分布は大きかったものの、三叉神経と接する脳後部において蛍光は検出されなかった。一方、ペプチド薬物とpenetratin併用経鼻投与後の時間経過とともに嗅球への移行効率が増大することから、penetratin併用によるペプチド薬物の脳移行促進作用には、嗅粘膜経路が寄与していることが示唆された。現在、さらに嗅粘膜から神経周囲腔あるいは血管周囲腔を介した脳深部へのペプチド薬物の到達効率が、penetratin併用により増大される可能性を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って順調に進展しており、研究成果を随時発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に進めてきたpenetratin併用経鼻投与によるペプチド薬物の脳内送達メカニズムの解析を、2年目以降にさらに発展させる予定である。特に、神経周囲腔や血管周囲腔における薬物分布の測定が容易ではないことから、より高感度かつ正確に検出可能な実験手法を確立することにより、メカニズムの解明につなげたいと考えている。さらに2年目からは、ペプチド薬物を介した認知症治療効果と組み合わせて、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβ (Aβ)を抑える抗体薬の経鼻投与を介した脳送達が治療効果に寄与するかを検証する。本検討では、アミロイド前駆体タンパク質(APP)ノックインマウスを用いて、penetratin併用経鼻投与を介した脳への薬物送達効率と病態マーカーおよび認知機能の変化を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に従った上での誤差金額になります。次年度に必要となる実験試薬および器具の準備のために使用します。
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Research Products
(13 results)