2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of Nose-to-Brain Delivery Strategy for Treatment of Dementia Based on Pharmacokinetic and Therapeutic Analyses
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19K07032
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
亀井 敬泰 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (40637451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 真莉子 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70257096)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経鼻投与 / 細胞膜透過ペプチド / インスリン / 認知症治療 / 嗅粘膜 / 血管周囲腔 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、細胞膜透過ペプチド(Cell-penetrating peptides: CPPs)の一種であるpenetratinが鼻腔から脳への直接輸送経路を介してインスリンやGLP-1受容体作動薬等のペプチド薬物を効率的に輸送することを明らかにしてきた。また、penetratin併用経鼻投与法を介したペプチドの脳送達には、三叉神経経路よりも嗅粘膜経路が主に寄与していることも明らかにした。しかしながら、嗅粘膜を透過したペプチド薬物が脳の深部や病変部にどのように分布するかについて検証するには至っていなかった。そこで、2020年度は嗅粘膜から脳全体への分布における血管周囲腔ルートの寄与を評価することにした。 インスリンおよびpenetratinを経鼻投与したマウスの脳切片を免疫染色し共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果、penetratin併用時にのみ脳血管周囲にインスリンが検出され、嗅粘膜から脳内への分布に脳脊髄液および血管周囲腔が寄与していることが示唆された。また、脳内に分布したインスリンは、認知症の病巣の一つと考えられる海馬および歯状回の神経細胞に特異的に集積しうることが明らかとなり、インスリンによる認知症治療効果においてその病巣への標的化効果も寄与している可能性が示唆された。現在は、CPP併用経鼻投与を介した認知症薬物治療の応用性を拡大するために、アミロイドβ抗体薬の脳送達への応用と認知症治療効果のさらなる改善に向けた検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って順調に進展しており、研究成果を随時発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討において、CPP併用投与を介した鼻腔から脳へのペプチド薬物の輸送メカニズム解析を大幅に進めることができた。次年度は、CPP併用経鼻投与法による認知症治療への応用性の拡大に向けて、現在進めている抗アミロイドβ抗体薬の脳送達戦略の評価を一層発展させる予定である。投与ルートの違いによる抗体薬の脳移行効率の差や認知症治療効果の変動について、薬物動態学的評価やアミロイド前駆体タンパク質(APP)ノックインマウスを用いた各種病態マーカーの解析により詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画に従った上での誤差金額になります。次年度に必要となる実験試薬および器具の準備のために使用します。
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Research Products
(9 results)