2020 Fiscal Year Research-status Report
人工調製肺サーファクタントの機能性フッ素ハイブリッド化への展開
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19K07036
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
中原 広道 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (00513235)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ機能材料 / ナノ医薬 / 肺サーファクタント / 複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺サーファクタントを利用したドラッグデリバリー(DDS)の基盤研究の一環として、界面活性剤ミセルへの可溶化現象を精査しました。DDS単体として、2本の炭化水素鎖をもつジェミニ型界面活性剤を用いました。ジェミニ型界面活性剤は、活性剤分子の親水部がスペーサーにより連結した二量体です。ジェミニ型界面活性剤は通常の活性剤と比べて極端に小さな臨界ミセル濃度(CMC)、高い表面活性能、独特な会合形態、優れたぬれや起泡性等の性質を有しています。また、有機化合物が、界面活性剤溶液中のミセルに取り込まれ、その溶解度が見かけ上増加します。界面活性剤に可溶化される疎水性薬物モデル化合物として、プロゲステロン、エストラジオール、テストステロンおよびこれらの誘導体を使用しました。ジェミニ型界面活性剤のCMCより低い水溶液濃度では各プロゲステロン類の溶解度は殆ど変化しませんでしたが、CMC後は濃度依存的に可溶化量が増加しました。これらの可溶化挙動を熱力学的に精査したところ、疎水性薬物モデル化合物の可溶化現象はエントロピー駆動で起こることが判明しました。ジェミニ型界面活性剤ミセル中における薬物モデルの可溶化位置に関しては吸収スペクトル及び2D ROESY NMR スペクトルにより評価しました。また、UVスペクトル測定によって、ステロイドの親水性基とステロイド骨格の空間的嵩高さにより、被可溶化物が界面活性剤ミセルの極性領域に濃縮する可能性が示唆されました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、テレワークやオンライン教育へのシフト等の対応のため十分な研究時間が確保できませんでいた。しかしながら、成果の方は学術論文に掲載できていますので、研究の方は着実に進んでいると認識しています。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から引き続き、新型コロナウイルス感染症の問題が継続していますが、研究計画としては予定通り進めていく予定です。研究成果の国際学会での発表に関しては、昨年同様オンライン媒体(Zoom等)で積極的に行うつもりです。今年度は、本研究計画の最終年となりますので、研究成果を国際的な学術論文に投稿し、社会への還元を目指します。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの市中蔓延により、日本国内はもとより海外への渡航も禁止されたため、学術会議への渡航費や旅費に対する使用実績がゼロとなりました。物品費に関しても、大学におけるテレワーク推進等で研究室への入室が困難な状況のため消耗品への使用が減りました。 次年度は、この状況が改善されると考えていますので、計画通りに予算を執行していくつもりです。
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