2021 Fiscal Year Research-status Report
人工調製肺サーファクタントの機能性フッ素ハイブリッド化への展開
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19K07036
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
中原 広道 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (00513235)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ機能材料 / ナノ医薬 / 肺サーファクタント / 複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工調製肺サーファクタントの効果及び薬効を増加させる研究の一環として、空気/水界面における逆電子要求型ディールスアルダー(IEDDA)反応を界面科学的に解明を試みました。反応物質としてテトラジン(C18-Tz)及びノルボルネン誘導体(C16-NCA)を使用した。C18-Tz,C16-NCAおよびそれらの二成分混合物のラングミュアー単分子膜を空気/水界面に作製しました。表面特性は表面圧-分子面積及び表面電位-分子面積等温線により解析しました。また蛍光顕微鏡により反応の進行状況を観察しました。まず、表面での反応を評価するための比較データとして、IEDDA反応用の有機溶媒の原液に二成分を混合したものを用意しました。反応溶液から展開したラングミュアー単分子膜は、反応時間の関数としてその特性を評価しました。その後の実験では,C18-TzとC16-NCAの別々の原液からラングミュアー単分子膜を展開し空気/水界面に製膜しました。単分子膜の表面挙動の分子面積、二成分の表面組成、単分子膜の圧縮速度、および温度による変化を調べました。2つの方法から得られた結果を比較することにより、反応場である空気相が反応効率に及ぼす影響について考察しました。有機溶媒中のIEDDA反応は、二成分組成に依存して7日以内に終了しました。これに対し、2成分が空気/水界面上で初めて出会う反応は、より遅い速度で進行することが分かりました。空気相の存在と長鎖炭化水素のTzとノルボルネンへの導入により、分子運動が乱され、界面に固定されたためだと考えられます。このように、二成分系のIEDDA反応は、空気/水界面で阻害されることが実証されました。この発見は、バイオメディカル分野などにおけるIEDDA反応の効率的な条件選択や生体内でのイメージング・センシングへの応用に有用な情報を提供すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19の感染状況が改善したり、悪化したりと、何度も繰り返されたため、大学教務に関する時間的な負担が増加した。そのため研究に避ける時間が減少し、また連続した時間が大幅に減少した一年だった。一部研究成果を纏めることはできたので、研究の進行が大幅に遅れているとは判断していない。このような点を踏まえ「やや遅れている」と自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID19の状況を予想することは難しいが、2022年度の研究計画をしっかりとたて、実施する予定です。また、本年度は本研究課題の最終年度であるため、研究論文を3報作成し、受理されるよう、本課題のまとめの一年とするつもりです。国際学会での研究成果発表も実施の予定であるが、オンラインにて発表するよう準備を進める。
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Causes of Carryover |
COVID19の感染状況が改善したり、悪化したりと、何度も繰り返されたため、大学教務に関する時間的な負担が増加した。そのため研究に避ける時間が減少し、また連続した時間が大幅に減少した一年だった。そのため、計画通りの予算執行が滞ってしまった。2022年に本課題を延長しているので、2022年度の研究計画を立て、計画通りに研究を進める。
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