2020 Fiscal Year Research-status Report
小胞体膜タンパク質BAP31が制御するミトコンドリア機能と神経障害の関連性の解明
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19K07045
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
難波 卓司 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (10729859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (80380062)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 小胞体 / オルガネラコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は③小胞体ストレスがBAP31に与える影響の解析と④BAP31ノックアウトマウスの解析を行った。④についてはこれまでにBAP31-Tom40複合体がミトコンドリア呼吸鎖complex Iを構成するミトコンドリアタンパク質のミトコンドリア内への輸送を促進していることを見出していた。そこで、小胞体ストレスに応答してミトコンドリアの呼吸活性を制御している可能性を探った。まず小胞体ストレス応答にBAP31が直接関与しているかを検討した。BAP31の発現を抑制して、小胞体ストレスを細胞に与えて代表的な小胞体ストレスセンサーのATF6、 PERK、 IRE1の活性化を検討したところそれぞれの活性化は特に変化はなくストレス応答自体にはBAP31は影響を与えていないことが示唆された。次に、小胞体ストレスによりBAP31-Tom40複合体に変化があるのかを検討したところ、この複合体の一部が崩壊することが分かった。同時にミトコンドリアの活性も低下したことから、小胞体ストレスによるBAP31-Tom40複合体の崩壊がミトコンドリア活性の低下に関与していることが考えられる。 ④BAP31ノックアウトマウスの解析につてはCre/loxpシステムを用いたBAP31コンディショナルノックアウトマウス(cKO)を作成し、全身にCreを発現するマウスを掛け合わせることでBAP31ノックアウトマウスを作成することを試みた。しかし全身でBAP31の発現ノックアウトしたころ、BAP31のノックアウトマウスが胎生致死であることが分かった。このままではニューロパチー様の運動障害等の解析が行えられないため、神経細胞特異的且つタモキシフェン特異的にCre活性を発現するNestin-Cre(タモキシフェン活性化型)マウスとBAP31cKOマウスの掛け合わせをおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新型コロナウイルスの感染防止のため若干の研究の遅れがあったが昨年度に計画以上に実験が進展していたこともあり、研究計画自体は順調に進んでいる。特にin vitroの解析③小胞体ストレスがBAP31に与える影響については研究の進展があり、残すところあと僅かであるので、あとは④のBAP31ノックアウトマウスの解析を重点的に行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
③小胞体ストレスがBAP31に与える影響の解析 これまでに小胞体ストレスによりBAP31-Tom40複合体の形成が阻害されることが示唆されたのでのそのメカニズムについて解析する。検討事項としては小胞体ストレスによるBAP31の小胞体内での局在変化とそのメカニズムの解析と小胞体ストレス依存にBAP31と複合体を形成するような因子の探索を行う。 ④BAP31ノックアウトマウスの解析 BAP31コンディショナルノックアウトマウスと神経細胞特異的且つタモキシフェン特異的にCre活性を発現するNestin-Cre(タモキシフェン活性化型)マウスを掛け合わせることで神経細胞特異的なBAP31ノックアウトマウスを作成してニューロパチー様の運動障害が起こるかを調べる
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、在宅での勤務日があり実験をできない期間があったため。本年度は人員を増やすことを考えており、研究スピードを上げる。
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