2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K07048
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Research Institution | 湘南医療大学 |
Principal Investigator |
山崎 泰広 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 准教授 (80415330)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 性差 / コレステロール胆石症 / 胆汁分泌 / 胆汁酸生合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
コレステロール胆石症は胆汁中で結石化したコレステロールが引き起こす疾患であり、40代以降の女性に好発することが知られているが、発症性差を生み出すメカニズムは解明されていない。胆石は胆汁脂質(コレステロール、リン脂質、胆汁酸)の成分比が変動することにより発生するため、これら脂質の胆汁分泌能性差は発症性差を解明する鍵となる。本研究では、in vivoによる胆汁分泌能の測定とオミックス解析を組み合わせることにより、胆汁分泌能の性差が胆石症発症率の差を生み出す可能性について検討した。 同腹の雌雄マウス肝臓を用いたDNAマイクロアレイの網羅的遺伝子発現解析から、コレステロールおよび胆汁酸合成系が雌優位であること、また胆石症誘発食で飼育したマウスではこの性差が消失する事を見出してきた。最終年度はこれら性差の見出されたコレステロール生合成系酵素(Hmgcs1、Hmgcr、Fdft1、Lss、Sqle、Cyp51、Nsdhl、Sc5d、Dhcr7、Dhcr24)、および胆汁酸合成の律速酵素であるCyp7a1の発現性差をより詳細に調べるため、RT-qPCRによる定量解析を行った。その結果、普通食群ではすべての遺伝子において雌優位であったが、胆石症誘発食摂餌群では、ほとんど差がないかわずかに雄優位であり、マイクロアレイの結果と一致した。以上より、肝臓におけるコレステロール、および胆汁酸の生合成能力は雌の方が高いが、胆石症誘発食によって肝臓にコレステロールが蓄積した状態では性差が消失する可能性が示唆された。前年度までのトランスポーター群の結果や胆汁分泌能の解析結果と併せて考えると、雌の肝臓は食事によるコレステロール異常蓄積への対応能力が低いため、胆汁中のコレステロール過飽和が起こりやすく、胆石が発生しやすい環境であることが示唆された。
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