2021 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリンα3を介した新たなシアリル化糖鎖生合成の制御と意義に関する研究
Project/Area Number |
19K07049
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
伊左治 知弥 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (80433514)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | N-型糖鎖 / インテグリン / シアル酸 / PI4K |
Outline of Annual Research Achievements |
シアリル化糖鎖は癌の転移やウィルス感染症などの疾患に深く関わる。申請者は糖鎖の生合成の制御因子を探索し、癌で増加するGolgiphosphoprotein3(GOLPH3)がシアル酸転移酵素をゴルジ体に係留させることで、シアリル化糖鎖の生合成を増加させることを明らかにした。上流の調節因子として、GOLPH3が結合するフォスフォイノシトール4リン酸(PI4P)を産生するPI4KIIαとインテグリンα3が重要であることが示唆された。この新しく見いだした調節機構に注目して、α3とPI4KIIαの相互作用、糖転移酵素の局在、ゴルジ体のpHおよびN-型糖鎖構造を解析することで、どのようにα3が糖鎖の生合成を調節するのか、シアリル化糖鎖の新たな制御機構を明らかにする。前年度までにPI4KIIαとインテグリンα3の特異性を明らかにし、この複合体はN-型糖鎖に特異的に影響を及ぼすこと、またPI4KIIαとインテグリンα3の複合体に加えて、細胞間接着分子であるEpCAMとインテグリンβ1の複合体についても見いだした。さらに、インテグリンのシグナル伝達が糖鎖合成に関わることが示唆された。当該年度において、インテグリンのシグナル伝達に中心的な役割を持つfocal adhesion kinaseの遺伝子欠損細胞を樹立に成功した。さらに、細胞の細胞表面の糖鎖を解析するとシアリル化糖鎖が著しく低下していることがわかり、あらためて、シアリル化の合成にインテグリンが関わっていることが確認された。今後FAKがPI4KIIαやPI4Pにどのように影響を及ぼすのか引き続き解析する予定である。
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