2019 Fiscal Year Research-status Report
鉄イオン依存性尿細管細胞死における新規制御因子の機能解析
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19K07052
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
藤木 恒太 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80632504)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ストレス応答 / 尿細管細胞死 / 鉄依存性細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿細管細胞死は、外的ストレス依存的に腎障害が生じる多くの場合に観察される現象であり、そのため、外的ストレス依存的な尿細管細胞死を理解することは、腎障害の治療や予防にもつながる重要な課題である。また、尿細管細胞では、近年、虚血性再灌流傷害によって腎障害が起きる場合、尿細管細胞では鉄依存性脂質酸化依存型細胞死フェロトーシスが惹起されうることが報告されたが、未だにその詳細は捉えきれていない。そこで、申請者は尿細管細胞におけるフェロトーシス誘導メカニズムを明らかにすべく、HK-2ヒト近位尿細管上皮細胞を用いてフェロトーシス誘導メカニズムの解析を行うことにした。 これまでに解析を行った結果、1)caspase阻害剤X処理時に、フェロトーシス様のHK-2細胞死は抑制される。2) caspase阻害剤X処理時に、細胞内の鉄イオン調節因子FTH1の発現量が増加する。3) caspase阻害剤X処理時に、FTH1をウエスタンブロット法を用いて検出すると、通常検出されるバンドに加え、低分子側に別のバンド(L-FTH1)が検出される。4)L-FTH1は、FTH1ノックダウン処理により消失する。5) L-FTH1は、抗酸化因子の発現を誘導する転写因子Nrf2及びFTH1のautophagyによる分解に必要なアダプター因子NCOA4をノックダウンすることで、減少することがわかった。また、6)転写因子ZEB1およびSnailのノックダウン処理によりフェロトーシス様のHK-2細胞死は抑制される。7)ZEB1およびSnailノックダウン処理では、FTH1の動態に顕著な変化は見られないこともわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室(校舎)の移転およびコロナウイルスの影響により、研究の遅延・停止する期間が生じ、当初の計画より研究に遅れが生じている。また、ZEB1及びSnailのフェロトーシス様のHK-2細胞死における機能解析については、2019年度に類似した解析結果が癌研究領域において報告されたため、現在はcaspase阻害剤Xのフェロトーシス様のHK-2細胞死に対する効果の解析に重点をおいて進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、現在までに得られている知見を踏まえながら研究計画を修正し、解析を進めていく。具体的には、1) 阻害剤およびsiRNAを用いて、フェロトーシス様のHK-2細胞死に関与するcaspaseを同定する。2) Nrf2およびNCOA4がL-FTH1の発現に必要であることを見出しているため、Nrf2およびNCOA4を起点に、caspase阻害剤X処理がL-FTH1の発現量を増加させる作用機序を探索する。3)既に報告された知見から、転写因子YAPおよびTAZが、ZEB1およびSnailのフェロトーシス様のHK-2細胞死における機能に関与する可能性が高いため、その可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進行の遅れに伴い、申請額よりも多少使用額が減少したが、ほぼ申請額と同等の使用額となっている。 次年度以降は、研究計画の修正に伴う購入物品の多少の変更は予想されるが、先に提出した計画から大きな変更なく使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)