2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K07060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々 貴之 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (20342793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂質 / バリア / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
外部環境に晒されている生体を病原体や異物の侵入から守り、体内からの水分等の損失を防ぐ「生体バリア」は個体の恒常性維持の根幹を担う機能である。申請者は脂質と生体バリアに関する研究を行い、炭素数が20より長い脂肪酸からなる極長鎖脂質が体表のバリア機能(皮膚透過性バリア及び涙液バリア)に必須であることをこれまでに明らかにしている。 消化管は食事、喫煙、薬物などに由来する質・量共に多様な化学物質および体表とは異なる微生物に晒されている。また、消化管は部位により組織学的にも生理学的にも皮膚とは異なる特徴を示す。本研究では、消化管における極長鎖脂質の種類と量を明らかにすること及び極長鎖脂質の消化管バリア機能における役割を遺伝子改変マウスを用いて明らかにすることを目的として研究を行う。 今年度は、マウス消化管における脂質の種類・量を質量分析(LC-MS/MS)を用いて分析した。その結果、口腔及び食道において、バリア機能への関与が推定される極長鎖脂質が存在していることを明らかにした。この極長鎖脂質の機能を明らかにするため、極長鎖脂質の合成に関与する脂肪酸伸長酵素ELOVL1を口腔及び食道においてノックアウトする系の確立に取り組んだ。口腔及び食道で発現するプロモーターの制御下でCreを発現するトランスジェニックマウスを複数系統作製し、保有しているElovl1 floxマウスと交配した。口腔及び食道においてElovl1を最も高率でノックアウトする系統を選択し、ノックアウト系統を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔及び食道において、バリア機能への関与が推定される極長鎖脂質を見出した。また、口腔及び食道で脂肪酸伸長酵素を欠損させるための遺伝子改変マウスの作製が順調に進んでいる。これらの進展状況からおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔及び食道において見出した極長鎖脂質が胃、小腸、大腸にも存在するかどうか解析する。また、この極長鎖脂質以外の脂質についても分析を進める。口腔及び食道においてElovl1を最も高率でノックアウトする系統を確立し、バリア機能を評価する。さらに、組織学的解析、タイト結合やムチン等の消化管バリア構成因子やバリア機能の破綻と関連した炎症マーカー等の発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
計画に沿って使用したものの,若干の残額が生じた。次年度に物品費としての使用を計画している。
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Research Products
(15 results)