2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトCYP2J2活性を強力かつ選択的に阻害する医薬品の探索と抗腫瘍効果の解析
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19K07063
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山折 大 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (40360218)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 降圧薬 / CYP2J2 / 抗腫瘍効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、CYP2J2活性を強力かつ選択的に阻害する降圧薬を見出し、このような薬剤が抗腫瘍効果を示すか否か、また分子標的薬の有効性を高めるか否かを細胞レベルで明らかにすることを目的とする。 2年目は申請者らが見出したCYP2J2阻害作用を有する降圧薬がヒト腫瘍株化細胞におけるCYP2J2の発現および増殖能に対してどのような影響を及ぼすのかを検討した。はじめに、消化管間質腫瘍由来GIST-T1細胞、肝癌由来HepG2細胞およびSK-HEP-1細胞、腎癌由来ACHN細胞およびCaki-1細胞におけるCYP2J2の発現を解析した結果、いずれもmRNAレベルで検出された。 次に、ヒト腫瘍株化細胞の増殖能に対する降圧薬(24時間処理)の影響をWST-1アッセイにより解析した結果、GIST-T1細胞に対しては、ニフェジピンを除く全ての降圧薬が10μM処理時に増殖能を有意に低下させた。また、アゼルニジピンは1μM処理時にも有意な増殖能の低下を示した。一方、アムロジピンは1μM処理時に増殖能を有意に亢進した。SK-HEP-1細胞に対しては、ニフェジピン、ニルバジピン、ニトレンジピンを除く全ての降圧薬が10μM処理時に有意な増殖能の低下を示した。また、アゼルニジピン、マニジピンは1μM処理時にも有意な増殖能の低下を示した。 降圧薬(0、0.1、1μM)を24時間処理したGIST-T1細胞においてCYP2J2の発現解析を行った結果、シルニジピンおよびニルバジピンは1μM処理で有意な発現低下を示したが、その他の降圧薬では発現に影響を及ぼさなかった。 これらのことから、検討に用いたほとんどの降圧薬は1μM以下であれば、これらヒト腫瘍株化細胞のCYP2J2発現や増殖能に影響を及ぼさないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、申請者らが見出したCYP2J2阻害作用を有する降圧薬の多くが高濃度でヒト消化管間質腫瘍由来細胞や肝癌由来細胞の増殖能を低下させることを明らかにすることができた。また、低濃度の降圧薬はヒト消化管間質腫瘍由来細胞のCYP2J2発現に影響を及ぼさないことを見出すことができた。これらの結果より、次年度のヒト腫瘍細胞における分子標的薬の抗腫瘍効果に対する降圧薬の影響に関する解析へと繋げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、CYP2J2阻害作用を有する降圧薬がヒト腫瘍株化細胞における分子標的薬の抗腫瘍効果に対してどのような影響を及ぼすのかについて解析する。分子標的薬として、ソラフェニブおよびスニチニブを用いて解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)