2019 Fiscal Year Research-status Report
抗NLRP3インフラマソーム・抗線維化作用を併せ持つ天然物を活用した薬剤開発
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19K07076
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Research Institution | Toyama Prefectural Institute for Pharmaceutical Research |
Principal Investigator |
本田 裕恵 富山県薬事総合研究開発センター, 創薬研究開発センター, 主任研究員 (10463134)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NLRP3インフラマソーム / イソリクイリチゲニン / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前に、生薬甘草の成分イソリクイリチゲニン(ILG)がNLRP3 インフラマソームの活性化を阻害し、高脂肪食投与マウスにILGを混餌すると内臓脂肪組織でのIL-1βの産生が減少し、体重増加やインスリン抵抗性が改善されることを見出した。また、ILGは高脂肪食摂餌による内臓脂肪組織の線維化を抑制することも明らかにした。 本研究ではこれらの研究を更に発展させ、1. ILGがNLRP3インフラマソーム活性化を阻害する分子機序を解明すること、2. NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)に対するILGの有用性を検証することを主目的とする。本研究により、ILGの標的分子を解明し、NLRP3インフラマソーム関連疾患である2型糖尿病やそれに関連する線維化疾患の予防法や治療法の開発を目指す。 1に関しては、DARTS法により同定した5種のILG標的候補タンパクについて、J774.A1細胞を用いてsiRNAにより遺伝子をノックダウンし、IL-1βの産生を指標にNLRP3インフラマソーム活性化への関与を調べた。また、NLRP3インフラマソーム活性化時に起こる、カリウムイオンの細胞外流出や塩素イオン細胞外流出に与えるILGの影響を、それぞれ原子吸光度法やMQAE試薬を用いて調べた。 2に関しては、超高脂肪コリン欠乏メチオニン減量飼料(CDAHFD)を用いたNASHモデルマウスを作製し、ILG混餌による肝臓組織の線維化に与える影響を線維化関連遺伝子の発現や組織学的な解析を基に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DARTS法により同定したILG標的候補タンパクについて、NLRP3インフラマソーム活性化への顕著な関与が認められたものもあったが、ILGの抑制効果への関与は証明できなかった。しかし、インフラマソーム活性化への関与が報告されている因子への影響を調べることで、ILGの標的候補を現在2つのタンパクに絞り込んで解析を行っている。 また、ILGのNASHへの効果の検討については、モデルマウスの肝臓の線維化が十分ではなかったものの、ILGにより線維化関連の遺伝子発現の上昇が抑制される傾向があり、効果が期待された。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ILGがNLRP3インフラマソーム活性化を阻害する分子機序の解明 インフラマソーム活性化への関与が報告されている因子への影響を調べることで絞り込んだ2つのILGの標的候補タンパクを入手し、分子間相互作用解析装置を用いて各々のタンパクとILGとの結合性について検討を行う。また、Pull-down アッセイ系を構築し、ILGがそれらのタンパク同士の結合を直接阻害するか否かについて調べる。 またILGは構造にα,β-不飽和カルボニル基を持っていることから、マイケルアクセプターとしての働きがNLRP3インフラマソーム活性化抑制に関与しているか否かを調べる。 2. NASHに対するILGの有用性の評価 CDAHFD摂餌期間を6週間として評価を行ったところ、肝臓組織でのTGF-β、1型コラーゲン等の遺伝子の発現は上昇するものの、組織学的な解析では十分な線維化が誘導されていなかったことから、CDAHFD摂餌期間を12-15週間とし、以下のとおり再評価を行う。(1)脂肪肝形成への影響を組織染色や血中ALT, ASTを測定して調べる。(2)肝臓組織のTGF-β、1型コラーゲン等の発現を免疫組織学的手法やリアルタイムPCR法で調べ、線維化に与える影響を検討する。(3)肝臓の慢性炎症状態への影響を調べるため、IL-1β, TNF-αの発現や、NLRP3、ASC、Caspase-1といったインフラマソーム構成タンパクの発現をリアルタイムPCRにて比較する。また、脂肪肝を誘導した状態からILGを混餌投与し、肝臓の線維化に与える影響を検討する。
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Causes of Carryover |
2019-2020年度にかけて行われる所属機関動物実験施設の改修工事に伴い、動物実験数が限定されたため、マウスの購入数が予定よりも少なかった。残額は、ILGの作用機序の解析のため、細胞培養用試薬、抗体、プライマー等の実験用試薬購入のため使用する計画である。
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Research Products
(2 results)