2023 Fiscal Year Annual Research Report
Rad17 ATPaseの解析からDNA損傷応答を標的とするシード化合物への展開
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19K07079
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
福本 泰典 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (10447310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 祐治 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (10280918)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA損傷応答 / 細胞周期チェックポイント / タンパク質間相互作用 / Rad17 / ATR / 9-1-1複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
[Rad17-iVERGEと9-1-1複合体との相互作用の発見と解析] DNA損傷応答(DDR)はゲノムの安定性を維持する機構である。一方でがん細胞はDDRの活性化によって化学療法・放射線治療に対する耐性を獲得するため、DDRは分子標的型抗がん剤の標的となる。 Rad17と9-1-1複合体との相互作用はDDRの開始段階において中心的な役割を果たす。以前に私達はRad17のC末端に保存された領域がRad17と9-1-1複合体との相互作用に必須であることを見出し、これをiVERGEと命名した。昨年度にiVERGEが9-1-1複合体と相互作用することを見出し、本年度はその成果をFukumoto et al. DNA Repair 2023として論文発表した。この中で、分子動力学シュミレーションとフラグメント分子軌道法および機械学習を用いて計算科学的解析を行い、iVERGEが9-1-1複合体を構成するHus1タンパク質の塩基性と疎水性の表面と相互作用することを予測し、生化学的実験を用いて実証した。以前に私たちはRad17が保存されたKYxxLモチーフを用いて9-1-1複合体と相互作用することを報告したが、今回の解析によってRad17がKYxxLモチーフに加えてiVERGEを二つ目の9-1-1相互作用ドメインとして持つことが示された。今後はKYxxLとiVERGEそれぞれの制御機構を解析することで、さらに詳細なDDRの制御機構が明らかになると期待される。 この成果は、Rad17と9-1-1複合体との新規の相互作用領域を見出したものであり、特にDDRを標的とする創薬のなかで、タンパク質間相互作用を標的とする創薬の新規標的を創出したものである。今後はiVERGEと9-1-1との相互作用を標的として新規の分子標的薬の開発へと展開されることが期待される。
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