2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07082
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深見 達基 金沢大学, 薬学系, 准教授 (00532300)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 加水分解 / 薬物代謝 / 毒性発現 / 薬物動態 / プロドラッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はAADACがアセトキシ基を有している化合物を加水分解する傾向があることから、アセトキシ基を有する様々な化合物の加水分解反応についてin vitroで解析を行った。薬物動態および副作用の問題を克服するために開発されたプロドラッグであるてんかん治療薬エスリカルバゼピン酢酸エステルおよび去勢抵抗性前立腺癌治療薬アビラテロン酢酸エステルをAADACが加水分解することを明らかにし、ヒト小腸および肝臓における加水分解反応の責任酵素であることを明らかにした。さらに、生体内化合物であるN-アセチルセロトニンおよびメラトニンもAADACは加水分解することを明らかにし、AADACは生理学的役割も担っていることが示唆された。 AADACがアセトキシ基を有する化合物を加水分解することから、N-アセチルトランスフェラーゼによりN-アセチル化された化合物を加水分解することが考えられた。そこで、様々な医薬品のN-アセチル化代謝物の加水分解酵素活性を測定したが、その多くはAADACにより加水分解されず、N-アセチルダプソンやN-アセチルアミノニトラゼパムなど一部のN-アセチル化代謝物がAADACにより加水分解されることを明らかにした。このようにAADACが医薬品動態を変化させうることが十分に考えられ、N-アセチル化化合物の中でもどのような構造の化合物がAADACにより代謝されうるのか、構造活性相関解析を行う必要性があると考えられた。さらに、発がん性物質であるアリルアミン類も最終代謝ステップにおいてN-アセチル化を受けた後にDNA結合能を示すため、AADACが加水分解するのであれば解毒に関与する可能性が考えられる。しかし、このN-アセチル化体は不安定で検出が不可能であったため、今後細胞などの試料を用いたin vitro検討やマウスなどの実験動物を用いた検討を行いAADACの役割を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、アセトキシ基を有する化合物の加水分解反応を測定し、数種類の化合物がAADACにより加水分解を受けることを明らかにした。これらについて現在論文を作製中である。発がん性物質についてはin vitroで評価することが不可能であったが、次年度に向けてマウスヘパトサイトの単離やDNA二重鎖切断評価法などを確立しており、スムーズに研究が行えるものと考えている。よって、順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
アセチル化されたプロドラッグであるエスリカルバゼピン酢酸塩やアビラテロン酢酸塩について、さらなるAADACの役割を明らかにするため、当研究室で以前作製したAadacノックアウトマウスを用いて体内動態を解析する。さらに、毒性との関連が示唆されており、AADACにより加水分解されることが示されているニトラゼパムやN-アセチルダプロンについてもAadacノックアウトマウスを用いて毒性評価を行う。 アリルアミン類の発がん性に対するAADACの役割について、Aadacノックアウトマウスより単離したヘパトサイト、もしくはマウス生体に処置し、早期発がん評価マーカーであるγH2AXの発現を評価することにより解析する。また、ヒト肝がん細胞にAADACやN-アセチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450を発現させ、どの組み合わせにより発がんが生じるかもしくは減弱するか解析する。このようにして次年度は焦点をあてた化合物について生体レベルで毒性てんおよび発がん性に対するAADACの役割を追究する。
|
Research Products
(1 results)