2020 Fiscal Year Research-status Report
神経保護作用を持つ生理活性脂質の新規メカニズムの解明: 脳血管障害治療への応用
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19K07098
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
後藤 真里 お茶の水女子大学, ヒューマンライフイノベーション研究所, 特任准教授 (80467050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 泰則 お茶の水女子大学, ヒューマンライフイノベーション研究所, 准教授 (50272737)
毛内 拡 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (90708413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環状ホスファチジン酸 / 脳血管障害 / ミクログリア / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞を主体とする脳血管障害は、我が国の死因第4位であり認知障害などの後遺症は患者のQOLを著しく低下させる要因のひとつである。虚血により生じる認知障害は海馬CA1領域の遅発性神経細胞死が関与しており、血管性認知症の治療・予防には、この細胞死への対処が必要不可欠である。環状ホスファチジン酸(Cyclic phosphatidic acid, cPA)は生体内に存在する生理活性脂質であり、虚血が引き起こす遅発性神経細胞死を抑制する。 本研究において今年度は、脳におけるcPAの作用機序解明として、①cPA標的分子の特定、②cPAのアストロサイトへの作用解明、③安定型cPA誘導体2ccPA(2carba-cPA)の生体内での安定性について解析を行った。 ①cPA標的分子の特定: cPA標的分子のアフィニティー精製による単離・精製を行った。2ccPAの炭化水素鎖にアジド基を導入した化合物を合成し、磁性微粒子表面に存在するアルキン基と結合させた。2ccPA固定化磁性微粒子をミクログリア細胞溶解液と混合し、2ccPA固定化磁性微粒子に特異的に結合するタンパク質を単離した。単離したタンパク質のアミノ酸配列を決定し、2ccPAの標的タンパク質の同定を行った。さらに、2ccPAと標的タンパク質の相互作用により強酸化剤が引き起こすミクログリアのアポトーシスを抑制されることを明らかにした。 ②cPAのアストロサイトへの作用解明: 動物モデルを用いてcPAのアストロサイトへの影響について解析を進めている。 ③安定型cPA誘導体2ccPAの生体内での安定性について解析: 腸溶化カプセルにて2ccPAを動物に投与し、血液中に含まれる化合物について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最大の目標であったcPAの標的タンパク質の同定に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に変更はなく、さらにcPAの脳血管障害治療への応用に向けた研究を進める
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Causes of Carryover |
今年度は動物モデル実験に取り掛かれなかったことによる。来年度は動物モデル実験に取り掛かる予定である。
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Research Products
(5 results)