2019 Fiscal Year Research-status Report
SGLT2阻害薬の腎心連関因子を介した心保護作用の解明
Project/Area Number |
19K07103
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
杉 佳紀 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70792977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 洋介 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30406532)
山田 良大 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40792982)
中埜 信太郎 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60307387)
千本松 孝明 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70216563)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性心不全 / 2型糖尿病 / SGLT2阻害薬 / 腎心連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病合併の心不全においてSGLT2阻害薬が大規模臨床試験で心不全入院を減少させ、薬によっては死亡率も低下させ良好な結果を示している(N Engl J Med. 26;373(22):2117-2128.2015)。しかし、SGLT2そのものは心臓での発現はなく、SGLT2阻害薬の主要な心保護作用は未だに不明である。そこで、我々はSGLT2阻害効果の腎心関連に焦点を当てて、血中エクソソームに着目し腎心関連によるSGLT2阻害薬の心保護作用機序の解明やDNAメチル化異常に着目したSGLT2阻害薬による腎心連関発現機構の解明を目指し研究を開始した。臨床では、ほぼSGLT2阻害薬のclass effectとして心保護、腎保護効果を持つことは証明されているが、今回我々は、まずIn Vitroの実験として、Lonza JapanのRPTEC Human Renal Proximal Tubule Epithelial Cells (RPTEC、腎臓近位尿細管上皮細胞)とDiseased Human Renal Proximal Tubule Epithelial Cells (D-RPTEC、2型糖尿病腎臓近位尿細管上皮細胞)を購入した。細胞培養は専用の培養液を用いて、細胞が80% confluenceに達した段階で、まずはdigital PCRで、細胞のcharacterを調べることにした。RPTEC、D-RPTECともに尿細管細胞の状態(上皮細胞マーカー(GGT1)、尿細管障害マーカー(KIM1、Megalin)、SGLT2(SLC5A2)の発言の有無)などを2種の細胞間で何度か比較した。両細胞ともに上皮マーカーは上昇を認め、尿細管障害マーカー, KIM-1もD-RPTECでは有意に上昇を認めたが、障害マーカーの一つであるMegalinは両細胞ともに上昇を認めず、肝心のSGLT2抗体の発現ほぼない状態に等しかった。その後も検体のRNA量などを増量し、何度かdigital PCRで調べたがSGLT2の発現は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定であったLonza JapanのRPTEC、D-RPTEC両方ともSGLT2抗体の発現がdigital PCRで確認したが乏しく当初の予定とはかなり異なる研究結果となってしまった。SGLT2抗体の発現が何度かの実験でも確認することができず、今回のLOnza Japanの1株を使用しての実験は困難となってしまった。 そこで、Lonza Japanに問い合わせた所、D-RPETCが今回我々が購入した1株以外にも他に2株保有しているということで、現在購入を検討中である。またそれ以外にも異なる実験方法も検討しており下記に記載する。
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Strategy for Future Research Activity |
尿細管上皮細胞を使用する実験に関しては、今のところLonza Japanの別株の購入を検討している。 それと併行しYin Liang, et al. PLos ONE(2012)で報告されている、Chinese hamster ovary (CHO) cellを用いた実験を検討している。CHO cellに、SGLT1、SGLT2抗体をそれぞれ投与し、高血糖状態にした状態にSGLT2阻害薬を投与。その投与前と投与後のエクソソームを抽出し解析、発現の差を検討する実験を予定している。投与方法は、今のところは当施設にあるEBNA1などを用いてtransfectionを検討している。これらの既存の基礎研究と合わせて、In Vivoの実験としてHumanの糖尿病未治療患者に対してSGLT2阻害薬投与前後の血液を採取しエクソソーム解析を行うことを予定し現在院内IRBを申請予定である。またDAPA-HF(European Heart Journal, ehaa1833)で報告されているが、非糖尿病の心不全患者にもSGLT2阻害薬は効果を発揮している。そのためまずは糖尿病合併の心不全患者のSGLT2阻害薬投与前後のエクソソームも解析予定である。
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Causes of Carryover |
もともと予定していたIn vitroの研究に加えて、予定とは異なる細胞購入などが必要のため次年度の使用額が昨年度より生じてしまった。もともと、計画していた細胞の別株購入を検討している事と、全く別系統のChinese Hamster Ovary cellの購入を検討している。
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